遠藤 我慢3連敗、徐々に左膝回復傾向 地元から万羽鶴来た

[ 2015年5月13日 05:30 ]

旭秀鵬(右)の強烈な張り手を食らう遠藤

大相撲夏場所3日目

(5月12日 両国国技館)
 先場所に左膝に大ケガを負いながら強行出場している幕内・遠藤が旭秀鵬に押し出されて初日から3連敗となった。地元石川県穴水町から1万羽の折り鶴がプレゼントされたが、その期待にはいまだ応えられず。徐々に相撲内容が良くなっているものの、手負いの和製ホープは苦闘が続いている。
【3日目取組結果】

 負けただけで館内から悲鳴が上がる。それが人気力士である遠藤の宿命だが、手負いの今場所はその声がさらに大きい。

 痛めている左足を前に出して旭秀鵬の突きを必死にこらえる。だが、強行出場の中で奮闘する姿が見られたのは10秒。両手と肩に相手の唇から流れた血を浴び、最後は力なく土俵を割って3連敗を喫した。支度部屋では無言。帰り際に「我慢か?」と質問されると「そうです」とつぶやいた。負けた時に言葉が少ないのはいつもと同じ。いつにも増して口を開かないのはケガを言い訳にしたくない男のプライドだ。

 先場所、左膝の前十字じん帯と半月板を損傷して途中休場。地元後援会は夏場所休場を勧め、師匠・追手風親方(元幕内・大翔山)も「番付発表(先月27日)時は厳しいと思っていた」と明かすが、本人は「最初から諦めなかった」。4月から四股を踏み、初日2週間前からは朝昼の2部稽古を敢行。報道陣が集う朝は基本運動に徹し、昼は立ち合いや組む稽古を行った。最初は立ち合いは中腰だったが、徐々に踏ん張りが利くようになり5日前に出場を決断。師匠は「怖さはあるけど本人が一番分かっている。力士は生活を懸けて相撲を取る」と代弁した。

 この日は今場所の朝稽古で初めて相撲を取った。左膝の状態が回復傾向にある証だ。稽古後には埼玉県草加市の追手風部屋に地元石川県穴水町から8000羽の折り鶴が届いた。場所前に届いた分と合わせて“万羽鶴”が完成。地元小学生や老人クラブ、婦人会が復活を祈って折った思いを受け取って土俵に臨んだが、結果は残酷だった。

 それでも、北の湖理事長(元横綱)は「下半身は安定してきたし、あとは慣れ」と背中を押す。この日は台風の影響で国技館の幟(のぼり)が一時撤去されたが、地元駅前には回復と健闘を祈るかのように10本の幟が揺れた。4勝しなければ十両陥落も見える。だが、力士生命を懸けて悲壮感を漂わせる24歳は期待に応える気でいる。

 ▽遠藤の初日から3連敗 過去3度経験。西前頭7枚目の13年九州場所は左足痛を抱えたまま強行出場し、初日から3連敗。その後、徐々に調子を取り戻して6勝9敗まで盛り返した。東前頭筆頭で迎えた14年春場所は初の上位総当たりの場所。初日から大関や横綱との対戦が続いて4連敗したが、この場所も最終的には6勝9敗だった。西前頭筆頭の14年秋場所は初日から7連敗と調子を崩し、3勝12敗と自身最低成績に終わった。

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2015年5月13日のニュース