団体銀の雪辱!内村 無敵5連覇 日本人最多タイ15個目メダル

[ 2014年10月10日 05:30 ]

体操の世界選手権男子個人総合決勝で5連覇を達成し、笑顔の内村航平

体操世界選手権第7日

(10月9日 中国・南寧)
 男子個人総合決勝が行われ、内村航平(25=コナミ)が合計91・965点で金メダルを獲得し、自身の史上最多記録を更新する5連覇を達成した。世界選手権の合計メダル数15、金メダル数7はともに日本人最多に並んだ。12日の種目別決勝・鉄棒で記録更新を目指す。田中佑典(ゆうすけ、24=コナミ)は、90・449点で銅メダルを獲得した。

 ライバルが内村に追いつけないのは、得点だけではない。誰よりも高い志が、万能キングのキングたるゆえんだ。ただ一人、6種目全てで15点台をマークし5連覇を達成しても、反省の言葉が並ぶ。「5連覇で良かったと思うけど、平行棒と鉄棒がちょっとしんどかった。あそこで失速して、まだまだかなって思う」。わずかに着地が乱れた終盤2種目の出来が、許せなかった。

 他の4種目は、内村も認める完璧な内容だった。15・766点をマークした1種目目の床運動は、10点満点のEスコア(実施点)で9・166点。4種目目の跳馬は、さらに圧巻だ。この種目が得意の外国勢に並ぶ高難度の「ヨー2」に挑み、微動だにしない着地。驚異のEスコア9・633点に「いい跳躍ができた」とどや顔を見せた。

 昨年は右肩の腱が切れる寸前の状態で世界を制し、今年は5月に左肩を痛めた。まだ25歳だが、長年の酷使による消耗を感じることが増えた。それは肉体だけでなく、メンタル面でも、だ。数年前なら、6種目の通し練習は軽く完遂できた。だが、「もうノリで通せなくなった。気持ちをつくってからやらないとできない」と苦笑い。今は、通し練習の日は体育館に入る前から集中を高める。試合に近いテンションで行う練習が、さらに高い次元に押し上げた。
 
 10日で64年東京五輪開幕から50年。メモリアルデーを前に偉業を達成した内村は、20年東京五輪に向けた取り組みを始めている。6年後、31歳で迎える自国開催の夢舞台。内村はコナミの先輩で現在31歳の小林研也に、加齢に伴う体の変化や疲労回復のスピードなどを積極的に聞くようになった。「今の研也さんの年が僕が東京五輪に出る時と同じ。参考になる」と意図を明かした。

 12日の種目別決勝・鉄棒で、今大会を締めくくる。金メダルを獲得すれば、世界選手権の金メダル数もメダル総数も日本単独最多となり、体操ニッポンの生きる伝説になる。「きょう(9日)みたいに最後止められないなんてことがないように、着地を止めたい」。16年リオデジャネイロ五輪、そして夢のTOKYOへ。万能キングの無敵の進撃は終わらない。

続きを表示

この記事のフォト

2014年10月10日のニュース