右足首ひねっても「ひねり王子」奇跡の回復力 白井、床運動V2

[ 2014年7月7日 05:30 ]

床運動で華麗な演技を見せる白井

体操全日本種目別選手権最終日

(7月6日 千葉ポートアリーナ)
 「ひねり王子」がミラクル世界切符だ。10月の世界選手権(中国・南寧)の代表選考会を兼ねて行われ、男子床運動で白井健三(17=神奈川・岸根高)が「シライ(後方伸身宙返り4回ひねり)」を決めるなど16・100点で連覇を達成。日本協会が定める派遣標準得点の16・000点をクリアし、代表に入った。ちょうど3週間前に右足首を捻挫し、全治6週間という逆境からハイスコアをマーク。世界選手権では床運動の連覇だけでなく、団体総合の金メダル奪回を狙う。

 想定外のアクシデントが起きた3週間前、白井は吐き気をもよおし、顔からは血の気が引いていた。“ひねり王子”が練習中にひねったのは右足首。骨折ではなく捻挫だったが、足首の外側はじん帯損傷、内側は骨挫傷で全治は6週間だった。それでもケガをした直後に言った。「僕は絶対に出る。骨が折れていても出る」――。強じんなメンタルが、父・勝晃氏や医師も「奇跡」という驚異の回復を呼んだ。

 床運動の通し練習は、会場入りしてから1回だけ。ぶっつけ本番でも、別格の存在感だ。ラインオーバーで減点があったものの、シライ2(前方伸身宙返り3回ひねり)、シライに成功。ひねりの合計22回半は他の追随を許さない。「大きいケガをしてもしっかり演技できて、自信につながる。足首を見てくれたみんなに恩返しができた」と納得の笑みを浮かべた。

 昨年、床運動で世界を制したが、満足感とは無縁だ。演技中の脚の開きが気になっていた白井は、改善するために両脚を閉じて寝るようになった。「言い方はホントに悪いんですけど…」と前置きした上で「遺体が運ばれる時みたいな、凄い美しい姿勢」で寝ていることを明かした。起床時には両脚は奔放に布団を蹴り飛ばしているが「脚が閉じられる実感が湧いてきた」と演技に生きる自信を得た。

 世界選手権では床運動の連覇だけでなく、団体総合で36年ぶりの金メダル奪回を狙う。「どんな大会でも自分の演技をしたいし、チームに迷惑をかけないように失敗のない演技をしたい」。万能キングの内村とともに、体操ニッポンを“ひねり王子”がけん引する。

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2014年7月7日のニュース