香生子3冠!リオへの希望 女子200平は世界選手権銅タイム

[ 2014年4月14日 05:30 ]

女子200メートル平泳ぎ決勝、2分21秒09の高校新で優勝し笑顔の渡部香生子

競泳日本選手権最終日

(4月13日 東京辰巳国際水泳場)
 女子200メートル平泳ぎで高校3年の渡部香生子(17=JSS立石)が2分21秒09で初優勝し、100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレーと合わせ3冠を達成した。男子50メートル自由形は塩浦慎理(しんり、22=イトマン東進)が日本男子で初めて22秒を切る21秒88の日本新記録で2連覇。男子200メートル平泳ぎは小日向一輝(19=セントラルスポーツ)が2分9秒67で初優勝した。

 美少女スイマーが大輪の笑みを咲かせた。渡部はスタートから飛び出すと、伸びのある泳ぎで加速。ラスト50メートルは追い上げられたが、自身最速の35秒台のラップタイムで逃げ切った。2分21秒09は昨夏の世界選手権銅メダル相当のタイム。「予想以上に出たので良かった」と喜び、3冠には「最後まで気が抜けなかった。いい泳ぎができて結果が出て自信になる」と手応えを口にした。

 12年ロンドン五輪に15歳で出場し「岩崎恭子2世」と騒がれた。その後は記録が伸びず、昨年の日本選手権は決勝にも残れず号泣。平泳ぎで世界選手権代表から漏れた。00年シドニー五輪女子100メートル背泳ぎ銀メダルの中村真衣さんらを育てた竹村吉昭コーチに昨年5月から師事。プル(手のかき)を大きくするなど泳ぎを改善した。昨年9月の国体で2分23秒42と1年半ぶりに自己記録を更新。復調のきっかけをつかんでいた。

 そこから約半年で2秒33も縮めた。急成長を支えたのは精神面の安定だった。「気持ちがすぐに顔に出る」ことを指摘され「つらいときこそ笑顔」をつくった。練習がつらくても五輪や世界選手権で決勝に進めなかった悔しさを思い出して耐えた。自立も大きい。竹村コーチを帯同しなかった1月の国別対抗戦スーパーシリーズでは200メートル個人メドレーで6位、100メートル平泳ぎで5位に終わり「200メートル(平泳ぎ)はどうしたらいいですか」とメールで送ったが、返信は「自分の泳ぎをもう一度確認しなさい」。自分自身でレースを立て直して3位に入り、大きな自信を得た。

 日本記録に0秒37と迫り「少し悔しい」と苦笑したが、目標とするのは世界でのメダルだ。「19秒台じゃないと表彰台を狙えない。21秒台を出して、やっと戦えるスタートラインに立てた」。16年のリオデジャネイロ、そして20年東京五輪のエース候補が再び輝き始めた。

 ◆渡部 香生子(わたなべ・かなこ)1996年(平8)11月15日、東京都出身の17歳。武蔵野中―武蔵野高在学中。体が弱かったため4歳で水泳を始める。小5から選手コースで中1までは主に個人メドレー、自由形、背泳ぎ。平泳ぎは中2から始める。12年ロンドン五輪200メートル平泳ぎ日本代表、13年世界選手権100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレー日本代表。1メートル67、57キロ。血液型A。

 ▽競泳代表選考 代表枠は8月下旬にオーストラリアで開催されるパンパシフィック選手権が男女計52人まで、9月中旬開幕の仁川アジア大会は計38人まで。原則として、日本選手権の各種目で日本水連の派遣標準記録を突破し3位以内に入ればパンパシフィック選手権の代表となり、2位以内ならアジア大会代表にも入る。日本選手権で派遣標準記録を切った選手が少ない場合は、6月のジャパン・オープンの結果も加味して代表追加。

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