高3近藤 世界女王&五輪金から連続一本V リオに名乗り

[ 2013年11月30日 05:30 ]

決勝でムンフバット(左)に一本勝ちした近藤

柔道グランドスラム東京大会第1日

(11月29日 東京体育館)
 高校生が世界王者をなぎ倒した。女子48キロ級は近藤亜美(18=愛知・大成高3年)が、昨年のロンドン五輪優勝者と今年の世界選手権優勝者を連破し、オール一本勝ちで初優勝。五輪金メダリストの吉田秀彦や谷本歩実と同じ道場出身の有望株が、7年後の東京五輪だけでなく、3年後のリオ五輪にも名乗りを上げた。男子60キロ級は世界王者の高藤直寿(20=東海大)が2連覇を達成。初日は男女5階級を全て日本勢が制した。

 右に世界王者のムンフバット、左に五輪王者のメネセスを従え、真ん中に立つ18歳の高校生。「実感が湧かない」とぎごちない笑顔で金メダルを受け取った近藤は、「初出場なので誰が強いとかあまり知らずに緊張することなく戦えた」と表彰式を終えてようやく柔らかな表情を浮かべた。

 5歳で柔道を始め小3からは吉田秀彦、谷本歩実を輩出した大石道場で稽古を重ねた。谷本が道場に来た時には金メダルを触らせてもらい、「これが獲りたい」と幼心に思ったという。その谷本や谷亮子が憧れの存在。だからこそ「目指すのは一本柔道。小さく勝つ柔道よりも観客の人が凄いなと思ってくれる柔道をしたい」と今大会も思い切りのいい柔道を貫いた。

 初戦と準々決勝は寝技で一本勝ちを収め、準決勝で対戦したメネセスも横四方固めに捉えた。決勝のムンフバット戦は相手の懐が「空いていた」と見るや、すかさず潜り込んで小内刈り一閃(いっせん)。「得意の払い腰や内股でもっと取りたかった」と反省も口にしたが、女子代表の南條充寿監督は「(思い切りのいい)高校生らしい試合をしてくれた。あそこまでいくとは思っていなかった」と称えた。

 学生相撲経験者の祖父と父からは丈夫な足腰を受け継ぎ、1000メートルは「3分半を切る」タイムで校内一の脚力を誇る。その土台の上に大石道場で培った技術が加わり、小中高でいずれも全国優勝を飾ってきた。そして一足飛びに手にしたシニアの国際大会のタイトル。「子供の頃から目標は五輪で優勝することだった。まだスタートライン。これを次につなげていければ、この大会には意味があったと思える」。東京五輪を狙う新星はリオも狙える力を見せたが、浮かれることなく自分の足元を見つめた。

 ◆近藤 亜美(こんどう・あみ)1995年(平7)5月9日、名古屋市生まれ。1歳年上の兄・孝哉さんの影響で5歳から六郷道場で柔道を始め、小3から中3までは大石道場に通う。大成中から大成高に進み、来春には三井住友海上に入社予定。高1で世界カデット選手権優勝。今年はベルギー国際やインターハイを制し、講道館杯は3位だった。1メートル55。

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