IOC、東京に良好な評価 地震、津波に懸念示さず

[ 2013年6月25日 19:49 ]

 国際オリンピック委員会(IOC)は25日、2020年夏季五輪招致を目指す東京、イスタンブール(トルコ)、マドリードの「評価報告書」を公表し、東京は選手村から半径8キロ圏内に会場の85%を配したコンパクトな計画や充実した輸送システム、強固な財政基盤などで良好な評価を受けた。東日本大震災を受け、地震や津波に関する記述は多かったが、電力供給問題を含め対策が十分に取られているとして懸念は示されなかった。

 3都市は7月3、4両日にスイスのローザンヌで開かれる開催計画説明会で、投票権を持つ約100人の委員にプレゼンテーションと個別説明を行う。有力委員の間で東京優勢の見方が広がっており、報告書でも開催能力の高さが認められたことは、ヤマ場となる説明会で支持を固めるための好材料となった。

 東京都の猪瀬直樹知事は都庁で記者会見し「非常にうれしい。努力が着実に実ってきつつある」と満足感を示した。

 イスラム圏初の五輪開催を目指すイスタンブールには隣国シリアの内戦による安全面の不安があり、欧州とアジアを分けるボスポラス海峡の両岸で開催する計画については移動に時間がかかり、交通渋滞のリスクも高いと指摘した。報告書は4月19日に最終的にまとめられたため、5月末からのトルコの反政府デモについては触れなかった。

 マドリードは東京と同様にコンパクトな開催計画が特長だが、スペインの経済危機の影響に懸念が示された。

 東京のマイナス要素は既存施設を使う柔道(日本武道館)、卓球(東京体育館)、ボクシング(両国国技館)各会場の周辺スペースの手狭さや、葛西臨海公園のカヌー会場が野鳥の生息地域に隣接する点など。ホテル代が高額で、シングルとダブルの価格差が大きいとの指摘もあったが、計画の根幹に関わる部分ではなかった。

 IOCは評価委員会が3月に3都市を現地調査して開催計画を精査した。報告書は開催都市を決める9月7日のIOC総会(ブエノスアイレス)での参考資料となる。

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2013年6月25日のニュース