大砂嵐 アマ横綱撃破!アフリカ初関取へあと3つ

[ 2013年5月19日 06:00 ]

土俵際、不利な体勢から遠藤(奥)をうっちゃり全勝を守る大砂嵐

大相撲夏場所7日目

(5月18日 両国国技館)
 アフリカ大陸初の十両昇進を狙う東幕下7枚目の大砂嵐(21=大嶽部屋)が先場所幕下10枚目格でデビューした東幕下3枚目の遠藤(22=追手風部屋)を土俵際でうっちゃり、4戦全勝で勝ち越し。7戦全勝なら十両昇進が濃厚で、外国出身力士最速タイとなる所要8場所での関取昇進へ弾みをつけた。横綱・白鵬と大関の稀勢の里、鶴竜が無傷の7連勝をマーク。1敗がいなくなり、2敗は日馬富士ら12人となった。

 両足が俵についた絶体絶命の土俵際。大砂嵐は昨年のアマ横綱の遠藤に組み止められたが、ベンチプレス180キロという驚異のパワーで体を大きく反らせながら、相手の体を後ろに放り投げた。いったんは物言いがついたものの、審判部がビデオを見返した結果、判定は軍配通り大砂嵐。「ラッキー。神様からのプレゼント」。勝ち越しを決めたイスラム教徒は館内から祝福の拍手を浴び、笑顔で花道を引き揚げた。

 残り3番を勝って7戦全勝とすれば、小錦、把瑠都に並ぶ外国出身最速タイの所要8場所での新十両昇進が確実となる。1年半前の入門時は「目標は横綱」と断言していたが、この日は「全部(勝つこと)じゃない。1日1日」。謙虚なコメントを並べることが常識の“お相撲さん言葉”で今場所の目標を語った。

 自らが数部屋を回って入門を志願し、11年秋に相撲とは縁の薄いアフリカから初の角界入りを果たした。技術は粗削りだが、パワーは関取級。場所前の出稽古で胸を合わせた十両・北はり磨は「腕力が強くて瞬発力もある。かち上げやもろ手突きの圧力は関取の力です」と絶賛。相撲界のいろはを叩き込んでいる大嶽部屋の世話人・友鵬は「あいつは宗教の関係でお酒を一切飲まないからウーロン茶で乾杯だな」とエジプトで続けていた禁酒を日本でも続けていることを明かした。

 関取昇進を果たせば、エジプトへの一時帰国か両親を日本に呼び寄せることを思案中。7月の名古屋場所は3日目からはラマダン(断食)を迎えるが、太陽が沈んだ夜には食事を取れるため、本人は「大丈夫」と問題なしを強調する。希望する化粧まわしのイラストはもちろん「ピラミッド」。言葉や文化の違いにも動じず、常に笑顔を絶やさない前向きな男には、バラ色の相撲人生が用意されている。

 ◆大砂嵐金太郎(おおすなあらし・きんたろう=本名・アブデルラフマン・シャーラン)1992年2月10日、エジプト・カイロ生まれの21歳。16歳から相撲を始め、08年にエストニアで行われた世界ジュニア選手権で無差別級3位。12年春場所で初土俵。同年5月の夏場所で序ノ口優勝した。趣味は水泳、乗馬、パソコン。1メートル89、143キロ。血液型A。

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