澤&沙羅2トップ 五輪招致へ初日から猛アピール

[ 2013年3月5日 06:00 ]

東京五輪招致のロゴを背に記者の質問にこたえる澤

 国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会による20年夏季五輪立候補都市の現地調査が4日、東京で始まった。初日はサッカー女子の澤穂希(34=INAC神戸)が英語でプレゼンテーションを行い、ジャンプ女子の高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)が会場視察をアテンドするなど、日本を代表するアスリートがいきなり登場。5日の2日目にも卓球女子の福原愛(24=ANA)らが参加する予定で“オール  ジャパン”の4日間が幕を開けた。

 安倍晋三首相の歌声とともに東京五輪の招致活動が本格的にスタートした。公式歓迎行事の最初にあいさつに立ち、英語のスピーチとともに「オリンピックの歌というものがありまして、わたしはその歌詞をまだ覚えています」と、64年東京五輪時にはやった「海をこえて友よきたれ」の一節を突然披露。会場の笑いを誘い、政府としての熱意を示した。

 午後からは皇太子さまが評価委メンバーに接見されて始まった現地視察第1日。“オールジャパン体制”をアピールするため、矢継ぎ早にトップアスリートが投入された。先陣を切って“ピッチ”に立ったのは、澤だった。「(サッカーの聖地)ウェンブリーでプレーするより緊張しないだろうと会場では言われたけど、自分はサッカーの方がいい」と緊張度合いを表現した。視察のルールによって評価委とのやりとりなど詳細は明かされなかったが「ジョークも出て、いい雰囲気だった」と安どした様子だった。

 フェンシングの太田雄貴や車いすテニスの国枝慎吾もプレゼンターで登場。ユース五輪で金メダルを獲得したジャンプ女子の高梨沙羅、体操男子の18歳の神本雄也といった次代を担う選手もエスコート役で視察に同行した。高校の制服姿で参加した高梨は「私は冬季五輪だけど、ぜひ東京で開催してもらいたい。そこに日の丸をつけて応援に行きたい」と招致成功を願った。

 澤に沙羅。五輪だよ、全員集合!4年前より豪華なアスリート陣で初日から全力投球。東京側で参加したIOCの猪谷千春名誉委員は「及第点。特に選手のプレゼンが良かった」と高く評価した。5日には卓球の福原や重量挙げの三宅宏実が登場し、その後には体操の内村航平、レスリングの吉田沙保里ら金メダリストも控えている。東京五輪をアピールするための4日間。出し惜しみはしない。

 ▽16年夏季五輪招致のIOC評価委員会視察 マドリード(スペイン)、シカゴ(米国)、リオデジャネイロ(ブラジル)と争った前回は、09年4月16~19日の4日間、現地視察を受け入れた。公式晩さん会は麻生太郎首相(当時)が出席。東大大学院と提携して開発した3Dメガネを駆使し、東京湾に新設予定だったメーン会場を立体映像で再現するなど最先端技術もアピールした。しかし、これが結果的には「分かりにくい」と不評。さらに、石原慎太郎都知事(当時)が環境への配慮をアピールしたが「私たちは国連ではない」と一蹴された。IOC評価委員会のムータワキル委員長(当時)は「考え方の質は高い」と評価したが、9月2日公表の評価報告書では(1)既存施設に改修や新設が必要(2)選手村の面積に懸念、などが示された。10月2日にデンマーク・コペンハーゲンで行われたIOC総会の投票ではシカゴに続き2番目に落選した。

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