日馬富士13連勝!横審ら“綱獲り王手”を明言

[ 2012年9月22日 06:00 ]

<秋場所13日目>稀勢の里(右)を寄り切りで破った日馬富士

大相撲秋場所13日目

(9月21日 両国国技館)
 綱獲りの日馬富士は稀勢の里を寄り切り、初日から13連勝で単独首位を守った。横綱昇進の可否を判断する横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社社長)や審判部は“綱獲り王手”となったことを明言。14日目に日馬富士が鶴竜に勝ち、1敗で追う白鵬が稀勢の里に敗れると、日馬富士の2場所連続優勝が決まり、場所後の横綱昇進が確実となる。

 ライバルを撃破した日馬富士は館内で見守るファンに対し、つかみ取った16本の懸賞金を、これみよがしに振り回して見せつけた。大一番を力で勝ち取り、大きく綱をたぐり寄せたという自分なりのパフォーマンス。「楽しみにしていた相手。きょうの一番は自分の持ってる全て。ベストを尽くした」と胸を張った。

 稀勢の里得意の左おっつけで土俵際まで押された。だが、立ち合いで相手の脇に入った両腕が効果的だった。「自分の相撲に迷いはなかった」。難なく残しながら相手の脇が甘くなったところでズボッと2本を深く差し込み、一気に寄り切り、夏場所千秋楽から続く連勝を「29」まで伸ばした。

 稀勢の里とは新入幕が04年九州場所で同じ。場所前には3日連続で胸を合わせ、午前5時まで都内で痛飲しても、千葉県松戸市の鳴戸部屋まで足を運ぶ日もあった。「なんで俺こんなに稀勢の里のことが好きなのかな。ゲイかな…。お互い隠すことなく力と力、心と心を出すことができる」。対抗心を燃やすのは「ここまで稽古で(強くなって)上がってきた力士」とシンパシーを感じているから。夢をかなえるためには、絶対に倒さなければならない相手だった。

 横審の内規には昇進の条件として「大関で2場所連続優勝、それに準ずる成績」と定められているが、鶴田委員長は「見出しをつけるなら“綱に王手”だな。千秋楽で白鵬に負けても評価は高いよ」と明言。鏡山審判部長(元関脇・多賀竜)も「14勝なら申し分ない」と事実上の“マジック1”であることを認めた。14日目の鶴竜との取組前には審判部が会議を開き、横綱昇進について議論をすることも判明。頂点に向かって吹き始めた風を感じる大関は「あすはあす。全身全霊頑張るだけ」と短い言葉に力をこめた。

 ≪大関2場所で28勝以上の横綱昇進率100%≫日馬富士は名古屋場所の15戦全勝に続き、今場所も13勝で計28勝に到達。過去、大関2場所で28勝以上を挙げた力士で横綱昇進を逃した例はない。27勝で横綱昇進を逃したのは53年の栃錦、87年の大乃国、89年の旭富士、93年の貴ノ花(後の貴乃花)、94年の武蔵丸、06年の白鵬の計6度あるが、いずれも後に横綱昇進を果たしている。

 ▼北の湖理事長(元横綱) 優勝が横綱昇進の前提だし、この一番(稀勢の里戦勝利)は大きい。13勝は立派だが、あと2日間のイメージもあるから…。

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2012年9月22日のニュース