釜石SW 開幕戦で白星スタート!被災2季目…TL昇格へ一丸

[ 2012年9月8日 19:38 ]

 ラグビーのトップリーグ(TL)下部のトップイーストが8日、4試合を行って開幕し、熊谷ラグビー場では釜石シーウェイブス(SW)が今季昇格のヤクルトを35―14で破り、東日本大震災後2度目のシーズンを白星でスタートした。

 キックオフの午後3時時点で気温33・3度。特に東北のチームには厳しい条件となった。風下だったこともあり、釜石SWは前半はキック主体の手堅い試合運びで7―7で折り返したが、「守りはできていたので焦りはなかった」と佐伯主将。「攻撃の継続」を意識した後半に4トライを奪って突き放した。

 被災2季目。震災半年後にシーズンが始まった昨季は、クラブチームの存続すら危ぶまれた。ラグビーができるのか。ラグビーをしていいのか。ラグビーで何を伝えられるのか。葛藤と感謝で埋まったシーズンは4位と健闘したが、悲願のTL昇格には届かなかった。

 佐伯主将は2季目も「やることは変わらない」と言うが「昨季はただクラブを存続できただけでうれしかったが、今季は頑張るだけじゃなく、結果がほしい。勝って恩返ししたい」と話す。「復興は思うように進んではいないけど、ほんの少しだけ余裕ができた」ことと、葛藤の時期が過ぎたことで「被災地を、釜石を代表して」戦う気持ちに集中できてきた。

 一方で高橋GMは「そのプレッシャーをあまり感じないようにしてほしい」と言う。震災から1年半がたち「被災地の情報は少なくなり、震災の記憶は少しずつ薄れていく。被災地の生活は不自由やストレスでまだまだ大変」なだけに、チームが「被災地の代表」として戦う使命を持つことは誰もが自覚している。

 「でも、いつまでも被災地とは言っていられない」とも思う。「フィールドに立てば被災したかどうかは関係ない。試合になれば実力で勝負するしかない。ベストを尽くすこと、TL昇格という目標達成に向け、100%の力を出すんだという覇気を見せたい」と2季目の心境を話した。

 大漁旗が翻ったスタンドからは「しっかりやれ!」という釜石市民からのヤジも飛んだ。佐伯主将は「懐かしかった」と話す。市民にもチームにも、いつまでも被災者だから、被災地の代表だからという目で見られたくはないという気持ちが、にじんでいる。

 「我々が被災したというのは大前提なんです。それを含めて釜石の名を背負って戦いたい」と高橋GMは言う。震災は、もう受け入れたこと。支援を受けながらだけど、自分の足で歩いていきたいのです。釜石SWの被災2季目には、そんな意思がこもっている。

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2012年9月8日のニュース