稀勢の里2連勝 亡き師匠も認めた18番で阿覧一蹴

[ 2011年11月15日 06:00 ]

“ロシアの怪力”阿覧(左)を突き出し連勝スタートを決めた稀勢の里

大相撲九州場所2日目

(11月14日 福岡国際センター)
 7日に師匠の鳴戸親方(元横綱・隆の里)を亡くした大関獲りの関脇・稀勢の里は平幕の阿覧を落ち着いて突き出し、初日から2連勝。弔い場所で順調なスタートを切り、大関昇進に弾みをつけた。新大関の琴奨菊も豪栄道を寄り倒して連勝。九州場所5連覇と21度目の優勝を狙う横綱・白鵬は隠岐の海を難なく寄り切った。

 171キロの体重を生かした力強い「おっつけ」と「突き放し」で稀勢の里は冷静に前に出た。故鳴戸親方が10月31日の番付発表会見で「左のおっつけと右の突き放しが稀勢の里の真骨頂」と説明した通りの内容で“ロシアの怪力”阿覧を土俵外へ一気に吹っ飛ばした。初日の取組後は亡き師匠を思い、目に涙を浮かべたが、この日は最後まで落ち着いた表情だった。

 昨年の九州場所2日目は63まで伸びていた白鵬の連勝記録を止めた日。「1年は早いですね。自信持ってやれている。そうじゃないと上(大関)にはね。自分を信じてやるだけ」。肉体的にも精神的にも一回り大きくなった大関候補が2連勝を飾り、昇進の目安である11勝に残り9勝とした。

 亡き先代を弔う特別な場所であるということを部屋全体で共有している。11日に千葉県内で営まれた葬儀・告別式を終えて、福岡に戻ってきた新鳴戸親方(元幕内・隆の鶴)は福岡市東区にある宿舎の「ちゃんこ場」に先代の現役時代の写真を掲げた。不知火型の横綱土俵入りを披露する悠然たる姿で、部屋頭の稀勢の里を含む弟子全員がちゃんこを食べる姿を見守っている。写真を掲げた理由について新師匠は「僕らは師匠を尊敬しているから」と説明した。

 この日、観客席には「天国へ届け大関だ!稀勢の里!牛久の宝!」という応援ボードが掲げられた。故郷・茨城県から駆けつけた後援会関係者が持参したもので、偶然隣に座っていた稀勢の里ファンの20代女性4人も掲示に協力した。周囲からの期待と重圧は日に日に増しているが25歳のホープは「毎日今までやってきたことを思い出してやるだけ」と師匠の教えを胸に土俵に集中することを誓った。

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2011年11月15日のニュース