日本にメダルを…愛 涙の3大会連続五輪切符!

[ 2011年5月17日 06:00 ]

ロンドン五輪シングルス出場が決まり、手を重ねる(左から)石川佳純、福原愛、水谷隼、岸川聖也の4選手

 卓球の世界選手権終了後の世界ランキングが16日に発表され、日本勢の女子は石川佳純(18=IMG)が8位、福原愛(22=ANA)が9位で、各国・地域最大2人の上位28人に与えられるロンドン五輪シングルス出場権を獲得した。11位で日本勢3番手の平野早矢香(26=ミキハウス)とわずか28点の僅差で3大会連続五輪出場を決めた福原は感激の涙を流し、日本卓球史上初の五輪メダル獲得を誓った。

 小雨の降るロッテルダムで、愛ちゃんの涙も光った。前夜は国際連盟の世界ランク発表を待たずに、不安のまま就寝。目覚めると、張コーチが福原の部屋を訪れ、シングルスの出場決定の吉報を伝えた。涙を流す張コーチにつられ「私も朝から泣いてしまいました」。歓喜の涙で抱き合い、喜んだことを明かした。

 「数字には敏感になっていました」と大会前からの心情を吐露した。ポイント計算は複雑を極める。大会前から日本勢の上位3選手の争いはきっこうし、福原と平野の優劣は日本協会の試算でもはっきりしなかった。結果、福原と平野はわずかに28点差。福原は3回戦で范瑛(中国)に敗れたが、平野が4回戦でその宿敵に勝っていれば逆転を許したことは間違いなく、まさに薄氷の切符獲得。「やっと離れられる~。合格発表みたいな感じですね」と笑う顔は、普通の22歳に戻っていた。

 3度目のシングルス出場となるロンドンは、メダル獲得が目標となる。そして、心の中には故郷がある。「日本に帰ったら(被災地を)慰問させていただきますが、五輪出場権と今回のメダルを持って帰れることにホッとしています。五輪でもメダルを獲って、うれしい報告をしたい」。卓球に出合った仙台に、日本初の五輪メダルを。快挙へ気持ちは固まった。

 目的達成のため中国に乗り込む。「中国選手にはまぐれでは勝てない。自分を見つめ直したい」と話した福原は、今月末から世界最高峰の超級リーグに参戦。今大会で苦杯を喫したカットマン対策が最大の目的で「カットマンに勝たないとメダルは獲れない。課題が見つかったし次につなげたい」と克服を口にした。

 先に帰国した母の千代さんから「どうだった?」とメールが届いた。「選ばれたよ」と返すと「よく頑張ったね」とねぎらわれたという。みんなの思いを背負い、戦い続けるのが福原の宿命。「ホッとしていますが、あと1年3カ月しかない。北京の(団体)3位決定戦で悔しい思いをしたので、やっと(雪辱の)スタートラインに立てた」。表情を引き締めた22歳は闘志をみなぎらせた。

 ◆福原 愛(ふくはら・あい)1988年(昭63)11月1日、宮城県仙台市生まれの22歳。04年アテネ、08年北京両五輪代表。世界選手権の個人戦は14歳で初出場した03年に女子シングルス8強、今回は岸川と混合ダブルスで銅メダル。青森山田高出、ANA。1メートル55、48キロ。

 【愛の過去の五輪】

 ☆04年アテネ五輪 同年4月のアジア予選を突破し、既に出場権を得ていた梅村礼、藤沼亜衣に次いで3枠目に滑り込んだ。卓球史上最年少の15歳で出場。シングルス3回戦で世界ランキング12位のガオ・ジュン(米国に)に4―0で勝ったが、4回戦で同6位の金?娥(キムキョンア)(韓国)に1―4で敗れ、ベスト8入りはならなかった。

 ☆08年北京五輪 同年1月の世界ランキング10位で、同16位の平野早矢香とともに上位20人に与えられる出場権を獲得。シングルス4回戦で世界ランキング1位の張怡寧(チョウイネイ)(中国)に1―4で敗れ、ベスト8入りはならず。団体戦(福原、平野、福岡)は3位決定戦で韓国に敗れ、メダル獲得はならなかった。

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2011年5月17日のニュース