栃乃洋6連勝!人望厚き36歳努力家が快進撃

[ 2011年1月15日 06:00 ]

すくい投げで光龍を破る栃乃洋

大相撲初場所6日目

(1月14日
東京・両国国技館)
 36歳のベテラン栃乃洋が光龍をすくい投げで破り、これまで4連勝が最高だった初日からの連勝記録を6に伸ばした。同じく無敗だった若の里が北太樹に敗れたため、平幕では唯一の勝ちっ放しとなった。阿覧を寄り切った横綱・白鵬とともに、全勝は2人だけとなった。大関陣は把瑠都、琴欧洲が1敗を守ったが、魁皇、日馬富士は2敗に後退した。

 まだまだ若者には負けていられない。場所後の2月に37歳の誕生日を迎える“アラフォー”栃乃洋が10歳年下の光龍に完勝。自身の初日からの連勝記録を6に伸ばし、全勝の椅子に座っているのは白鵬と2人きりとなった。「(場所前の稽古を)見ていた人は6連勝するとは思っていなかったでしょ。毎日欠かさず体を動かしていたので、それが良かった」。伝統ある春日野部屋の重鎮は、柔和な表情で答えた。

 前日までの5勝のうち、実に4勝が土俵際での逆転劇だった。この日は立ち合いで得意の左を差し、直後に体を開きながらのすくい投げで快勝。「きのうまでとは違って自分の流れでできた」と納得の相撲だった。

 師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)は「枯れ木も“なんとか”っていうやつだよ」とベテランの健闘を冗談交じりに称えたが、誰よりも真面目に稽古に励む栃乃洋の姿を間近で見てきた。15年前に拓大から幕下付け出しで初土俵を踏んだが「稽古をサボったことは見たことがない。努力を努力と思っていないのだろう」と証言。朝稽古では栃煌山、栃ノ心、栃乃若の若手3人衆にぶつかり稽古で胸を出す役割を担うが、本人は“努力”について「ただ若い子たちがいい相撲を取れたらいい」と表現する。この日も支度部屋に戻ると栃ノ心から「良かったですね」と祝福されるなど後輩からの人望も厚い。

 昨年は十両に2度陥落したため、新年の書き初めでは「幕内」と書いた。「普段はかかってこない電話が来るよ。まあ勝ち越すまで、まだ安心できない」。どんなに白星を積み重ねても、無欲のままに相撲道にまい進するだけだ。

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2011年1月15日のニュース