44年ぶり金!福島 100分の1秒差制しV

[ 2010年11月23日 06:00 ]

福島(中)が1位でゴール

 激戦を制して44年ぶりの金メダルを手にした。広州アジア大会第11日は22日に行われ、陸上女子100メートル決勝で、日本記録保持者の福島千里(22=北海道ハイテクAC)が11秒33で金メダルを獲得。前回大会優勝のフビエワ(ウズベキスタン)に0・01秒差で競り勝ち、同種目の日本選手としては66年バンコク大会の佐藤美保以来の優勝を飾った。

 ゴールした瞬間は、優勝を確信できなかった。だが、電光掲示板が福島の1位を告げると、歴史的快挙を成し遂げたヒロインはスタンドから投げ込まれた日の丸を身にまとって笑顔のウイニングラン。日本女子短距離界の暗黒時代を切り裂いた瞬間だった。

 「(ゴール直後は)自分が勝ったかどうか、ちょっと分からなかった。日の丸を投げてもらった時に優勝したのを確認しました。もう必死でした。本当に勝てて良かった。本当にうれしい」

 08年北京五輪に100メートルで日本女子では56年ぶりに出場し、昨年のベルリン世界選手権では世界大会77年ぶりの1次予選突破。歴史の扉を次々と開いてきた福島が、今度はアジア大会同種目で44年ぶりの日本人女王に輝いた。

 小学校時代にスピードスケートで培った低い前傾姿勢でのスタートが武器の福島がスタートで失敗した。リアクションタイムは8人中5位と出遅れ。先行逃げ切りのいつものパターンとは違い、この日は猛烈に追い込んだ。中盤からは2位のフビエワと一騎打ちになり、最後は懸命に胸を突き出してゴールに飛び込んだ。0・01秒、実に8センチ差の激戦を制し「みんなが目指してきたところ。また44年ぶりとか何年ぶりとかならないように、毎回しっかりやっていきたい」と笑みを浮かべた。

 昨秋から徹底した筋力トレーニングに着手し、肩甲骨周辺や下半身は強じんさを増した。8~9月には個人種目で初の海外遠征も敢行し、強豪選手と競い合った。記録が出ずに涙を流したこともあった。だが、1秒間に4・7歩を刻む高速ピッチを落とさず、ストライドを伸ばす課題に取り組んだ成果が、目標だったアジアの舞台で生きた。

 アジア最速の称号を手に入れても、まだ満足感には浸れない。23日には400メートルリレー予選、24日には200メートル予選が行われる。100メートルと合わせて制覇すれば、日本女子初の偉業だ。「アジアから世界へとつなげたい。来年の世界選手権、2年後の五輪へいいきっかけになる」。まだ先にある真のゴールに向かって、アジア女王の加速は続いていく。

 ▼高野進監督 福島はプレッシャーをよくはねのけた。中盤で珍しく前に出られてひやっとしたが、走りが浮いていなかった。

続きを表示

2010年11月23日のニュース