元時津風親方 懲役5年に“減刑”も即日上告

[ 2010年4月6日 06:00 ]

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(ときたいざん、当時17、本名・斉藤俊=たかし=さん)の暴行死事件で、傷害致死罪に問われた前時津風親方の山本順一被告(59)に対する控訴審判決公判が5日、名古屋高裁で行われた。片山俊雄裁判長は懲役6年とした一審判決を破棄、懲役5年を言い渡した。

 片山裁判長は判決理由で「(力士を死亡させた)ぶつかり稽古は制裁目的で違法。山本被告は犯行を指示、主導しており、刑事責任は兄弟子と比べて格段に重い」と指摘、事実認定については一審の名古屋地裁判決を踏襲した。一方、懲役5年に軽減した理由については、山本被告が退職金支払いについて今年1月に日本相撲協会と和解し、自身の退職金の一部約1588万円を、相撲協会が遺族に支払った解決金に充当したことを斟酌(しんしゃく)し「共犯者らとの処分の権衡も含めて考慮してみると、原判決の量刑は、その刑期の点で重すぎることとなった」と述べた。しかし、執行猶予付きの判決を求めている山本被告は判決内容を不服とし、即日上告した。
 ▼時津風親方(元幕内・時津海)普通に指導をしていたら、こんな事件は起きなかったし、2度とあってはいけない。今後も師匠の監督責任という意味をしっかりと受け止めていく。斉藤君に対する申し訳ない気持ちは永遠に消えない。
 <斉藤さん父「ふに落ちない」>亡くなった斉藤俊さんの父・正人さんは判決後に会見し、「正直(刑期が)短くなったのは残念。相撲協会と山本が和解したことでそうなったのはふに落ちない」と不満そうに話した。体調を崩している正人さんは2本のつえで体を支えながら傍聴席に座ったが、法廷に山本被告は姿を見せなかった。これには「何でいないのだろうと思った。こういうものなのか」と怒りをあらわにし、軽減の理由となった被害弁償についても「山本(被告)から直接支払われたわけではない」と話した。

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2010年4月6日のニュース