(1)ノルディック複合・湊祐介 第3の男、初の大舞台へ

[ 2009年11月10日 06:00 ]

2月、ノルディックスキー世界選手権の複合個人後半距離で力走する湊祐介

 ノルディックスキー複合で走れる選手として頭角を現してきたのが24歳の湊祐介(東京美装)だ。伝統的な狩人集団「マタギ」の発祥地、秋田県阿仁町(現北秋田市)で生まれた高橋大斗(土屋ホーム)小林範仁(東京美装)に次ぐ“第3の男”が夢の実現に挑む。

 昨冬の世界選手権での活躍は鮮烈だった。団体後半距離の第1走者を務め、24秒差を逆転してトップに立ち、日本の14年ぶり優勝に貢献。個人でも1けた順位を2度マークし「夢だった五輪の表彰台は確実に近づいている」と自信をつかんだ。
 183センチ、75キロ。がっしりとした現在の体つきからは想像しにくいが、両親は「小さいころは貧血で体が弱かった」と言う。鍛えるために毎日走った少年時代が、距離の強さの礎となっている。
 小林の父に誘われて中学生から複合を始めた。16歳だった2002年にワールドカップ(W杯)に初出場したものの、ジャンプが不得手で、その後はW杯に出ることもなかなかできなかった。
 あきらめずに続けてこられたのは身近な先輩の存在が大きい。「大斗さんや範仁さんに追い付きたい」という思いで取り組んだ飛躍の改良に、距離重視の規則変更も重なり、昨季の結果が出た。
 控えめな性格だが「いつかは自分が引っ張りたい」との意欲を秘める。バンクーバーではメダル獲得に挑む団体だけでなく、個人でも活躍をもくろむ。W杯2勝の高橋や新エース小林の陰に隠れた3番手の男は、2人をしのぐ働きができるか。

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2009年11月10日のニュース