石井「なる気ない」 プロ格闘家転身否定

[ 2008年10月6日 06:00 ]

チームメートの試合中、顔をしかめる石井

 北京五輪男子100キロ超級金メダリストの石井慧(21=国士舘大)がプロ格闘家への転身を否定した。柔道世界団体選手権は5日、東京武道館で行われたが、石井はケガのため、この日は出番なし。大会終了後、一部で報じられたプロ格闘家への転身を完全否定したが、来春の大学卒業後の就職先などは明確にせず、進路については含みを持たせた。エースを欠いた日本男子は3位決定戦で敗れて5位。女子は決勝でフランスに5―1で快勝して優勝した。

 最後まで畳の上で雄姿を披露することはなかった。石井の代わりに全試合に出場した棟田は1勝2敗。木曜日の最終調整中に股関節などを痛めたエースを欠いて、日本男子は5位に終わった。試合後は出場選手以外への取材が禁止されるという異様なムードの中、主役を務めたのはそれでも石井だった。
 この日、一部でプロ格闘家への転身が報じられた。石井は試合後「(プロ転身を決断した発言は)言ってないです。プロになる気はないです」と冷静に否定。会場をあとにする際も「皆さんが期待するようなことはありません。(進路は)12月の嘉納杯の前には」と笑みを浮かべた。
 実は、来春の卒業後に慣れ親しんだ国士舘大を離れ、他大学を練習拠点にする計画が進行中だ。すでに、尊敬する小川直也(現プロ格闘家)を輩出した明大などの関係者にも打診済み。全日本柔道連盟にはプロ格闘家として試合をした選手が柔道の大会に出場することを禁止する規定が残っており、柔道を続ける間はプロ活動ができないことは石井も理解している。
 しかし、その一方で就職先は依然として決まっておらず、来年以降どのような体制で柔道を続けるかは未定。この日の報道を受けた全日本男子の斉藤仁監督は「恩義とか大義とかではなく、自分を高めるという意味で柔道を選ぶか、報道されたような道を選ぶのかは、本人が決めること」と突き放すように話しており先行きは不透明だ。
 かねて石井自身は「最強の男になりたい」と公言しており、柔道だけにこだわらず他の格闘技にも興味を示してきたのは事実。転向するタイミングとしては、北京五輪で金メダルを獲得した今年中が一番いいとも言われている。北京で日本柔道を救った21歳は、北京イヤーの最後にどういう決断をするのか。夏の主役が冬も注目を集める。

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2008年10月6日のニュース