石井 最高の時期に闘いたい

[ 2008年10月6日 22:24 ]

 石井は北京五輪前から総合格闘技への挑戦を希望していた。全柔連の幹部も意向を認識していたが、ここまで早急な展開は考えていなかった。

 石井の原点は「強さ」へのあこがれにある。「世界最強の男になる」と公言して一昨年の全日本選手権を史上最年少で制し、21歳で五輪金メダリストになった。柔道家としての実績を十分に積み、総合格闘技への転身を自然な形で考えた。

 石井の理想としては柔道家の肩書を残しながら、ほかの格闘技に取り組みたかった。だが、全柔連は他競技でのプロ活動を禁じており、これまでの柔道家はピークを過ぎてから引退し、プロ格闘家に転向していた。

 過去の例から、全柔連側はロンドン五輪後のプロ転向を予想した。石井自身は「4年後では体力的に厳しい。脂が乗った最高の時期に闘いたい」と焦りを感じていた。五輪後は柔術やグローブをつけた打撃練習に本格的に取り組んでいた。

 日本柔道にとっては、才能のある人材の流出は大きな痛手だ。五輪後の派手な言動でも注目を集めた石井を異端児として扱うのは簡単だが、同様の若手が今後も出てくる可能性はある。プロとアマチュアの線引きなど議論を続ける必要がある。

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2008年10月6日のニュース