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村井チェアマン Jリーグは強くなければいけないという意味

[ 2014年12月14日 13:50 ]

日本のサッカーや地域の発展について熱く語った村井チェアマン

 【村井チェアマンに聞く(2)】

 ―クラブライセンス制の定着など、財務面でも各クラブが大きく変わった。

 Jクラブが51まで増えたが、J3はJ1やJ2の資金を使わず、セルフファンディングでやっていて、規模の拡大がJ1、J2の地盤沈下を招くことはない。J3は地域のサイズに合った規模で経営していく。J1、J2は今のレベルを維持する方向に固定化できる状況になった。クラブの経営は、債務超過が解消されるめどが立ち、この先はクラブ間の競争になっていく。配分金は一律均等ではなく、観戦者数で努力したところは見返りがあるとか、競技順位が高いところには還元されるようにする。Jリーグの将来は、Jリーグの力がデザインしていく。プロリーグには資金がいる。リーグからの配分金だけを当てにするのではなく、自立し、自分たちの収益で回すようにしようということだ。

 来季から2ステージ制に移行するが、サッカーが人気になったのはシンプルでわかりやすいから。ホーム&アウェーが一番だが、手をこまねいていては、財政的に厳しくなることが見えた。多くの人に見てもらう工夫が必要だと、大会方式変更を決めた。多くの人に勝ちにこだわる試合を見てもらう機会が増えるし、収入面も期待できる。ずっとやるのではなく、1シーズン制が理想なら、稼げる経営に移行しなければいけない。

 ―チェアマンに就任して、Jリーグを見る目で変わったところは。

 Jリーグは強くなければいけないという点だ。「強い」は経営体質も含まれる。均等配分を期待するのではなく、競いあって強いクラブつくり、リーグは配分金を将来の成長のために使う。育成に投資し、国際大会にどんどん派遣する。その過程として、2ステージ制があるなら、全力でやって成功させたい。クラブ運営上、いろいろな選択肢を得るためにも、クラブ経営、リーグ経営の基盤を強化するためのチャレンジをしていく。そういう意味では、親会社の損失補てん契約を解除し、経営的に自立している浦和が活躍した意味は大きい。

 ―その一方で、ACLでは4チーム出場して川崎F、C大阪、広島が決勝トーナメントに進んだが、そろって1回戦で敗退した。

 ACLは残念。ただ、どのチームも僅差で敗れている。J1では来年度のテーマとしてACLでタイトルを取るということをテーマに掲げ、打てる手はすべて打とうと思っている。シーズン中、疲労が蓄積している時に出場チームが中2日で試合をすることがないように、スケジュールを調整してコンディションを整えられる状況にする。リーグ戦だけでなく天皇杯も含めてやる。ACLに出場する4チームは決勝トーナメントに行けば、天皇杯はシードすることも考えている。渡航費用や戦力分析などの人的サポートも支援する。

 今年はアジアではインドネシア、ベトナム、タイ、ミャンマーへ行ったが、ACLで07に浦和、08年にG大阪がタイトルを取って認知度が高い。ACLファイナルはみんな見ている。アジア戦略進める上でもタイトル取ることは大きい。クラブW杯に出て欧州のトップクラブと伍(ご)して戦えるチャンスでもあり、ACLを取ることは重要。そして出たチームが損をしないようにすることもポイントで、ACLに出たチームが直後のリーグ戦で対戦する相手が、試合間隔が空いてACL出場チームが不利にならないよう、ナビスコ杯を入れるなど、細かいところまで調整を検討している。そして、そういうクラブが現れてリーグ全体をけん引して、世界に追いつけるようになれば。それが、日本代表を強くすることにもつながる。

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2014年12月14日のニュース