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アギーレ監督サプライズ満載 広島の無名C契約FW皆川抜てき

[ 2014年8月29日 05:30 ]

初めて日本代表に選出された広島のFW皆川(左)

 日本代表のハビエル・アギーレ監督(55)は28日、初陣となる9月5日のウルグアイ戦(札幌ド)、同9日のベネズエラ戦(日産ス)に臨む日本代表23選手を発表した。J1でも実績のないFW皆川佑介(22=広島)、DF坂井達弥(23=鳥栖)ら初選出の5人を含むサプライズ満載の編成で本田、長友ら常連組とも横一線に並べてチームづくりを進める方針だ。18年W杯ロシア大会に向けて新たな戦いが始まった。

 もはやサプライズの枠を飛び出たメンバー編成だった。アギーレ監督が初めて提出したリストには本田、長友らW杯に出場した常連組に加え、J1通算出場時間がわずか238分という広島のFW皆川、さらに今季出場4試合のDF坂井らJ1でも無名の若手が名を連ねた。日本サッカー協会関係者は思わず「サプライズ過ぎるでしょ!」と声を上げた。

 年俸上限が480万円のC契約選手の代表招集は10年1月アジア杯予選の青木(現浦和)以来だ。だが当時は若手中心の編成で今回の皆川は極めて異例の選考。そこにアギーレ監督の神髄が透けて見える。「過去のリストは見ていない。代表歴も基準ではない。重要なのは質の高さ。今、ベストのメンバーを選んだ」。W杯代表から10人を選んだ海外組は招集確定レターを試合の15日前までに送る規則のため従来の選手が軸となった。だが国内組は先入観も予備知識もない、自身の基準だけを基に選んだ。

 さらに際立ったのはレフティーの存在だ。日本協会の強化幹部は「監督は左利き(利き足が左の選手)を欲しがっていた」と明かす。DF坂井は空中戦に加え、左足の精度に定評がある。リカルドGKコーチが23日に視察した大宮戦ではアギーレ監督が重要視するボールを奪われてもすぐ奪い返す姿勢、安定した守備に目が留まり、ほぼ一発合格に近い形で選出された。復帰のMF田中も強烈な左足の持ち主だ。

 大型化、若年化も進められた。平均身長は1メートル81。W杯ブラジル大会代表の1メートル78に比べて3センチ増。平均年齢は25・43歳で30歳以上はGK川島、MF長谷部だけ。W杯代表の26・73歳に比べて1歳以上若返った。サプライズの皆川は1メートル86。高さと力強さを兼ね備えたFWで協会幹部は「平山(FC東京)に似たタイプで何より戦える」と評す。戦う姿勢を前面に出す、新生代表の象徴だ。

 ウルグアイ戦の先発も現時点では白紙。指揮官は「若手、ベテラン、代表歴で区別はしない。全員が日本代表だ。ゼロからのスタート。最も私のやりたいことを理解した11人を選びたい。2試合の主将も最終的には私が決めるが、選手とも相談したい」。まさに横一線。本田も長友も皆川も坂井も9月1日からの合宿で先発の座を争う。

 指揮官は就任会見でキーワードに挙げたコンプロミソ(義務、責任)にも言及。「90分の中でインプレーは45~48分。ピッチには22人いてボールは1個。1人がボールに触れるのは約2分。私はボールを持っていない88分間の動きをコミットして見ている。走れない選手は代表に呼ばれません」。23人に向けた強烈なメッセージ。シンデレラボーイも加えた新生代表がいよいよ動きだす。

 ◆皆川 佑介(みながわ・ゆうすけ)1991年(平3)10月9日生まれ、東京都生まれの22歳。所沢ジュニアユースから前橋育英高に進み、10年に中大に進学。13年にはユニバーシアード日本代表に選出。14年に広島に加入し、7月23日の柏戦でリーグ初得点。1メートル86、84キロ。利き足は右。

 ▽Jリーグの契約 3種類あり、プロA契約は年俸の上限はないが、1チーム原則25人まで。J1クラブは15人、J2は5人以上と契約することが条件。プロB契約は年俸の上限が480万円で人数制限はなし。プロC契約は年俸上限はB契約と同じ480万円、新卒加入後、所定の時間をクリアしていない選手がこれに該当する。所定時間はJ1=450分、J2=900分。C契約選手がこれをクリアした場合、A契約締結の権利を得る。

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