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「これがW杯」スコアレス、PK決着も好ゲーム “歴史的大敗”が異常

[ 2014年7月10日 15:04 ]

献身的な守備で勝利に貢献したアルゼンチン代表MFマスケラーノ(AP)

W杯準決勝 アルゼンチン0―0(PK4―2)オランダ

(7月9日 サンパウロ)
 ブラジルが歴史的な大敗を喫した翌日に行われた準決勝のもう1試合は、アルゼンチンがPK戦の末、オランダを下して24年ぶりの決勝進出を果たした。ゴールが生まれなかった試合だったが、スポニチ本紙評論家の川本治氏(62)は「8点も決まった昨日(ブラジル戦)が異常。今日の試合がW杯でよく見られる準決勝の形(内容)」と語った。

 川本氏は負ければ敗退という一発勝負では「指揮官は点を取ることより、取られたくないと守備的に意識するもの」。その上で「両チームともに、個々の守備意識、姿勢は素晴らしく、グループとしても2~3人でのブロックの形成は早く、堅かった」と質の高い守備で見ごたえのある、好ゲームだったと評した。

 アルゼンチンでは守備的MF(ボランチ)のマスケラーノ(バルセロナ)とビグリア(ラツィオ)、CBのデミチェリス(マンチェスター・シティー)、ガライ(ベンフィカ)のボックス中央の名を挙げ、特にマスケラーノとデミチェリスを絶賛。マスケラーノは「危ないシーンでは必ずと言っていいほど、顔を出して攻撃の芽を摘むっていた」。スピードの衰えを指摘する声もある33歳デミチェリスは「年を取っているからと侮ってはいけない。統率力、経験値は貴重」と大きな大会ではベテランの力が必要と力説。

 オランダでも負傷明けでスタメン復帰したデヨング(ACミラン)が、メッシ(バルセロナ)のマンマークで徹底的に抑え、交代後もチームとして組織立ってメッシ封じ込めを完遂していたと称賛。120分で決着がつかなかったのも「両チームともに集中を切らさず、少ないチャンスを伺っている展開」では納得できるとのこと。

 勝負を分けたPK戦に関しては「結果論」と前置きしつつ、「PK戦でのシレッセン(アヤックス)を見る限り、クルル(ニューカッスル)の方が良かった」と準々決勝コスタリカ戦での、ファンハール監督のGK交代策は的確だったとの見方を示した。そういう意味で、延長前半6分に3人目の交代枠を使い切ったのには疑問符を付けたが「交代させたファンペルシー(マンチェスター・ユナイテッド)が延長残り25分ぐらいでも、結果(ゴール)を出せないと判断したんだろう。エースの消耗は誤算だったのでは」と理解を示した。

 ◇川本 治(かわもと・おさむ)1952年(昭27)5月1日、北海道釧路市生まれの62歳。室蘭清水ヶ丘高校2年までGKを務め、中央大進学後以降はFWに転向。古河電工(現J2千葉)では9シーズンに渡ってプレーし、引退後はコーチ、監督、強化部長など要職を歴任した。現在は日本代表戦のほか、カテゴリーを問わずスタジアムに数多く足を運び、誠実な人柄で選手や関係者からの信頼も厚い。

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2014年7月10日のニュース