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7失点惨敗 ブラジル10分で崩壊…フェリペ監督「1点目で停電した」

[ 2014年7月10日 05:30 ]

<ブラジル・ドイツ>前半11分、先制ゴールを決めるドイツのミュラー(AP)

W杯準決勝 ブラジル1―7ドイツ

(7月8日 ベロオリゾンテ)
 ミネイランの惨劇だ。腰椎骨折のネイマール(22=バルセロナ)、出場停止のチアゴ・シウバ(29=パリSG)を欠くブラジルはドイツに1―7で大敗した。50年大会に続き地元でのW杯優勝を逃し12日(日本時間13日)の3位決定戦に回った。

 敗戦の笛とともにミネイラン競技場にブーイングと口笛が響いた。ゲーム主将を務めたDFダビド・ルイスは涙を拭い、MFオスカルは出場停止だったDFチアゴ・シウバの胸で泣きじゃくった。

 「ブラジル史上最悪の負けだ。決勝に行けず申し訳ない。人生最悪の日だ」とフェリペ監督。引き分ければ優勝が決まる最終戦でウルグアイに逆転負けした50年大会の「マラカナンの悲劇」から64年。地元でのW杯優勝の悲願は再びついえた。

 しかも同国W杯史上最多7失点、ワーストタイ6点差の大敗で、リベンジの舞台マラカナンにもたどり着けなかった。ホーム敗戦は02年の親善試合パラグアイ戦以来12年ぶり。ホームでの公式戦敗戦は75年南米選手権ペルー戦以来39年ぶりだ。

 守備が崩壊した。前半11分のCKでファーサイドのMFミュラーをフリーにする失態で先制点を失うと、前半23分のFWクローゼの2点目から6分40秒で4失点。相手のパス回しに対応できず左右に揺さぶられゴールを割られた。GKジュリオ・セザールは「パニックになった」とぼうぜん。指揮官は「1点目でブラックアウト(停電)した。技術はあるのに10分で機能しなくなった」と分析した。チアゴ・シウバが不在で立て直せなかった。

 FWネイマールのためにとの思いで結束した。全員が「ネイマール頑張れ」と書いた帽子をかぶって会場入り。国歌斉唱ではダビド・ルイスが背番号10のユニホームを掲げた。フェリペ監督は「ネイマールの欠場は関係ない」と強がった。だが代役ベルナルジのドリブルは難なく止められた。ボールを運べる選手がいないため中盤で奪われカウンターを浴びる悪循環。勝利を諦めた地元サポーターは不振のFWフレッジにブーイングを浴びせ、ドイツのパス回しに「オーレ」と掛け声をかけた。

 ダビド・ルイスは「全てのブラジル国民に謝りたい」と謝罪した。02年大会決勝ではドイツを退けながら“倍返し”に遭った指揮官は「この悲劇的な結末の責任は私にある」と大会後に退任する。後任はコリンチャンスを率い12年トヨタ・クラブW杯を制したチッチ氏が有力。新生セレソンは屈辱を抱えて再起する。

 ▽マラカナンの悲劇 1950年7月16日、リオデジャネイロのマラカナン競技場で行われたW杯ブラジル大会の決勝リーグ最終戦で、地元ブラジルはウルグアイに敗れて初優勝を逃した。4チームによる決勝リーグで2戦2勝のブラジルは1勝1分けのウルグアイと引き分けでも初優勝だったが1―2で逆転負け。20万人近い観衆が集まった競技場内だけで2人が自殺、2人がショック死し、30人近くが失神したといわれる。ブラジルはこの試合で初めて着用した白いユニホームを二度と使わず、カナリア色のユニホームに変更した。

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