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【オシム分析3】スペイン代表黄金時代の終わり…

[ 2014年7月1日 10:42 ]

前大会王者スペインは1次リーグ敗退。スペイン代表の王号時代の終わりを象徴する敗戦だった

 日本を含むアジア諸国が1勝も挙げられずに敗退したのは残念だった。私の故郷ボスニア・ヘルツェゴビナ、隣国クロアチアに加え、前回優勝国スペインやイタリア、イングランド、ポルトガルなどの強豪が1次リーグで姿を消した。次期開催国のロシアも敗退した。

 対照的に、「死の組」D組を首位通過したコスタリカなど中南米諸国の健闘が目立つ。南北アメリカ大陸で開催されるW杯では中南米が有利と言われてきたが、この前の米国大会(94年)から20年もたっている。その間、世界のサッカー地図は変わっており、サッカーの内容も変化しているのに、始まってみたらやはり中南米優勢でここまで来ている(1次リーグ通過は南米5、北中米3、欧州6、アフリカ2)。

 【スペイン敗退理由は走れなかったこと】

 スペインの敗退について言えば、前回王者として相手に研究されたこと、それに対して戦力の上積みができなかったことが要因だ。しかし、一番の要因は走れなかったことだ。「ティキタカ」のパスサッカーは小刻みにポジションチェンジしながら相手守備陣を混乱させるもので、走力が低下すると機能しなくなる。走れなかった理由は高温多湿の気候条件、欧州のテレビ視聴者に合わせた試合時間(気温30度の午後1時開始は選手に気の毒だった)、コンディション調整の失敗など。それに加えて、欧州の過密日程から来る疲労が残っていたのではないか。

 シャビ(バルセロナ)の代表引退に象徴されるように、スペイン代表の黄金時代は終わりかもしれない。しかし、スペイン代表とバルセロナが発達させたパスサッカーのスタイルは、そう簡単には終わらないだろう。

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