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世界との差縮小へ…J外国人枠緩和も個の能力向上の一手

[ 2014年6月30日 08:35 ]

Jリーグで川崎F・ジェシ(右)と競り合う青山

 本田が、長友が、目標に「W杯優勝」を公言してきた。日本サッカー協会は14年度の予算にW杯8強進出の賞金(約14億円)も組み込んだ。それだけに失望の大きな1次リーグ敗退。だが、ここで強化策をぶつ切りにしてしまっては明るい未来は訪れない。敗北した今だからこそ揺るがぬ「哲学」を示すべきだ。

 原専務理事は「4年間の全てを否定はできない。やり方は継続していく」とした。日本にメッシはいない。人数をかけ、ゴール前で多くのチャンスをつくることが得点の近道だ。選手の所属クラブ欄はマンチェスターU、ACミラン、インテル・ミラノなどかつてない豪華絢爛(けんらん)なものとなった。だが、冷静に見れば、レギュラーはインテルの長友だけ。それも周囲に生かされるタイプの選手だ。方向性は正しくても、世界舞台で主導権を握るには、まだ時期尚早だったのだ。

 最低限、埋めなければならないのが、今大会で見せつけられた個の能力差だった。コロンビア戦に先発した青山は「早くJリーグで外国人と勝負したい」と言った。Jリーグ関係者は半ば冗談交じりに「外国人枠を撤廃すればいい」と話す。J1では3人の外国人選手に、アジア枠かタイなどJリーグ提携国枠の1人を加えた最大4人の出場登録が可能。撤廃は極端な発想だが、枠を緩和して日常的に外国人とプレーする機会を増やすことは個の能力を高める上で一つの策かもしれない。

 日本協会は早急に哲学に沿った次期監督を決めるべきだ。4年前、優先順位の高かった候補者と交渉が決裂を繰り返しザッケローニ監督にたどり着いたのは8月下旬だった。もちろん日本人の特長を生かす攻撃スタイルにこだわり、残した功績は大きい。だが、日本に来るまで代表監督の経験がなかった61歳の老将は短期決戦の機微に疎かった。コートジボワール戦ではかつて指導した経験もある42歳の敵将ラムーシ監督の前に、流れを読む采配、効果的な一手を打つ意味でも見劣りした。

 7月1日に都内で臨時技術委員会が開かれる。W杯の分析と次期監督の人選について話し合われる。現在、メキシコ人のハビエル・アギーレ氏(55)との交渉が進められている。スペインのAマドリード、メキシコ代表などで監督を歴任。選手の俊敏さを生かし、全員守備、全員攻撃が身上だ。新しい指揮官の下で日本代表に「哲学」を植え付ける。同じミスを繰り返すわけにはいかない。

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2014年6月30日のニュース