【天皇賞・春】ギュスターヴ　豪快突き放し１２秒６

＜天皇賞・春＞ギュスターヴクライ（左）は坂路で併せて豪快な末脚を披露

　春の最強古馬決定戦「第１４５回天皇賞・春」の最終追いが２５日、美浦、栗東両トレセンで行われた。阪神大賞典で金星を挙げたギュスターヴクライがパワフルな動きでさらなる上昇をアピール。メンバー屈指の勢いで再びオルフェーヴル討ちを果たすのか？

　オルフェーヴルが駆け抜けた８分後の同じ坂路コース。ギュスターヴクライが上がり馬の勢いを見せつけた。僚馬ファタモルガーナ（４歳１０００万）を４馬身後ろから追走。ゴール前で気合をつけると、力強く１馬身半先着した。４Ｆ５２秒４～１Ｆ１２秒６。豪快な脚さばきが、究極の出来を物語っている。

　手綱を取った高橋亮技術調教師は「順調に来てますね。最後もしっかり反応したし、高いレベルで好調を保っている」と太鼓判。荒川師も「太めが残らないように１週前もそこそこやったので、動ける感触はあった。前の馬を追いかけ、きっちり抜いた。しっかり負荷をかけて良かった」と穏やかな口ぶりだ。

　同期オルフェが３冠を飾った昨秋、こちらは１０００万級の条件馬だった。それが瞬く間にオープン入りし、前走・阪神大賞典では重賞初Ｖ。オルフェの逸走があったとはいえ、ＧＩ常連のナムラクレセント、ヒルノダムールは力で制圧した。「もともと力はあったけど緩い面があった。体の充実が結果につながっている」と荒川師。思えば、昨春の青葉賞４着はウインバリアシオンと０秒３差。ダービー切符はあと一歩で逃したが、能力は示していた。そこに超Ａ級の搭載エンジンをフル稼働できるボディーが備わってきた。

　たとえ、実績はオルフェが上でも、こちらにはメンバー屈指の勢いがある。自由自在の操縦性に加え、バテ知らずの持久力。荒川師は「前走後の回復も早かったし、さらにパワーアップした感じ。長所？スタミナと自在性。どんなペースでも対応できる強みがある。もともと、おっとりした性格で上手に競馬ができるんだと思う」とセールスポイントをアピールする。

　同期の大本命はあえて意識せず。ギュスターヴは己の力を出し切ることに専念する。「強いのが１頭？この馬の競馬をするだけ。自分の競馬に徹する。（再コンビの）蛯名騎手も乗り慣れているのでお任せするだけです」。指揮官が無欲を強調すればするほど、天井知らずの上昇度が脅威に映ってくる。