笑福亭鶴光 「噂のゴールデンリクエスト」復活中 「大人の遊園地」

[ 2022年6月14日 09:30 ]

ニッポン放送「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」のスタジオでおどける田中美和子と笑福亭鶴光
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 【牧 元一の孤人焦点】この番組がラジオから流れてくると、探していたお菓子を見つけた気分になる。懐かしく愉快になる味だ。落語家の笑福亭鶴光(74)がパーソナリティーを務めるニッポン放送「鶴光の噂のゴールデンリクエスト」。今年3月にレギュラー放送は終わったが、スペシャルウイーク(プロ野球のセ・パ交流戦の予備日)の特番として、また復活した。

 13日から16日まで、午後6時から午後8時までの生放送。その初日に東京・有楽町のニッポン放送のスタジオにお邪魔した。

 鶴光師匠は相変わらず唯我独尊のハイテンション。「ビンビン川柳」のコーナーでは、リスナーからの「大きいの 当たっているわ 宝くじ」の一句で、手持ちの長棒を90度に立てて「ボンボンブラザース!」と叫んで見せた。ラジオであるにもかかわらず、放送中に派手に動くところが、師匠の話芸の真骨頂だ。

 アシスタントの田中美和子さんに加え、前島花音アナウンサーを相手にする「伏せ字ニュース」のコーナーでもエンジン全開。「前バリ花音」と紹介しつつ、生真面目にニュース原稿を読もうとする花音アナに対し、ちゃちゃを入れ続け、その中での不穏な動きに美和子さんが「これ、絶対にテレビで放送できない…」と漏らす場面も。

 聞きどころの一つは、リスナーから届くメールとファクスの内容。この日のテーマの中に「理想の父は?」という問い掛けがあったが、その答えの一つは「細川ふみえ」。分かる人には分かる言葉遊びが、この番組の面白さを象徴しているようだった。

 もちろん、「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」(1974年から85年まで放送)の名物コーナー「ミッドナイトストーリー」も健在。例によって鶴光師匠がゴールデンタイムとしては異色の艶っぽい声を出し続けた後、オチになったのは、前夜にテレビで放送された連続ドラマの真犯人。この番組の即時性の高さを印象づけた。

 放送終了後のスタジオ。鶴光師匠は「リスナーの反応が早い。『理想の父は?』と聞いたら『細川ふみえ』ですよ!想像力が凄いなと思います」と満足げ。美和子さんも「この番組は、こちらが一生懸命に送っているというより、みなさんが楽しく作り上げてくださっているという感じです」と話す。

 1987年に「笑福亭鶴光の噂のゴールデンアワー」としてスタートしてから35年。レギュラー番組と特番を繰り返しながら長く人気を得てきたのは、そのあたりに秘訣があるようだ。

 鶴光師匠は「『大人の遊園地』みたいな感じで、みんなで遊んでるから、ええんちゃいますか。リスナーが参加して、僕もそれに乗っかって遊ぶ。政治の話とかが出てくるわけじゃなく、ただワーワー言って、終わったら忘れてしまう。そういう感じで、ええんちゃうかな、と僕は思います」と語る。

 美和子さんは「師匠の手腕が素晴らしい。リスナーはストレート、変化球と、いろんなボールを投げてくるけれど、全て受け止めてしまうんです。私は最高の芸を一番近くで見せていただいています」と語る。

 特番の放送はあと3日。さて、今日からはどうなることやら。

 師匠は「そりゃ、分かりまへん。その日その日で、テーマがどう変わっていくかも分からない。全てリスナー次第です。臨機応変。それが生放送のいいところです」と楽しげに笑った。

 放送中と終了後の出演者のテンションが全く変わらないのも番組の魅力の源だろう。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年6月14日のニュース