桐山清澄九段 74歳現役最年長棋士が引退危機 竜王戦で南九段に敗れ、あと1敗で55年の棋士人生に幕

[ 2021年12月7日 22:40 ]

桐山清澄九段
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 将棋の現役最年長棋士・桐山清澄九段(74)が6日、大阪・関西将棋会館で第35期竜王戦5組ランキング戦に臨み、南芳一九段(58)に152手で敗れた。1966年の四段昇段以来55年あまりの棋士人生に最大の危機が訪れた。

 桐山が居飛車穴熊、南は三間飛車でダイアモンド美濃から銀冠へ組み替えた。共に堅陣ながら桐山にわずかに軍配が上がる布陣。細かな押し引きを繰り返し、お互い残り時間が1時間を切った100手目前後、局面が動き出した。桐山が飛車を展開し、端角で南陣を直射した。

 日本将棋連盟が運営するライブ中継アプリの評価値では、桐山に「90%」がつく局面もあった。ところが決め損なう。逆に南の反撃を受け、投了した。

 昨年、3つ目の降級点がついたため順位戦のC級2組からフリークラスへの陥落が決まり、竜王戦のみ出場資格がある桐山。その竜王戦も5組は3期目のため、今期で4組昇級を果たせなければ引退となる。5組では2期まで、6組降級しない限り参加が認められる規定だった。

 過去2期も負けると降級、つまり引退の土俵際を切り抜けてきた。第33期は井出隼平五段(30)との残留決定戦に千日手指し直しの末に勝利。終局後、最後との覚悟は?との質問に「十分」と応じ、笑いを誘っていた。前期の残留決定戦も上村亘五段(34)に勝利した。親子以上、年下の棋士たちを退けて棋士人生を延長してきた歩みはまさに愛称「いぶし銀」の真骨頂だった。

 ところが今期はさらに条件が厳しい。ランキング戦は32人によるトーナメントのため4連勝すれば決勝進出し、2人の昇級枠に入れた。ランキング戦で敗退した桐山は、昇級者決定戦へ転戦し、3位以内に入れば昇級できる。つまり32人で5枠を争う戦い。

 昇級者決定戦で敗退すればさらに残留決定戦へ回るが、桐山は勝っても過去2期とは違い、4組昇級の可能性が消滅しているため勝敗にかかわらず引退となる。公式戦通算996勝で棋王1期、棋聖3期獲得のレジェンド。あと4勝して1000勝を達成し、現役続行もかなえたい。

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2021年12月7日のニュース