“出雲のイナズマ”里見女流4冠 史上最多タイトル44期 12年ぶり更新

[ 2021年6月3日 05:30 ]

女流タイトルの通算獲得期数新記録を樹立した里見香奈女流王位(提供・日本将棋連盟)
Photo By 提供写真

 里見香奈女流王位(29)=清麗、女流名人、倉敷藤花との女流4冠=が2日、福岡県飯塚市で、挑戦者・山根ことみ女流二段(23)との女流王位戦5番勝負第3局を150手で制した。3連勝で3連覇。清水市代女流七段(52)と並ぶ女流タイトルの通算獲得期数を12年ぶりに更新して44へ伸ばし、歴代単独トップに立った。「数字にはこれまで執着することがなかった。これからも目の前のタイトル戦に集中していきたい」と意気込みを語った。

 戦型は先手山根が向かい飛車、里見は三間飛車に構えた。飛車交換から王頭戦での駒の活用度で抜け出し、接戦を勝ち切った。昨年度、女流歴代3位タイの17連勝を記録した山根。その勢いを断ち、自身の通算勝利数を300(100敗)の大台にも乗せた。

 08年、倉敷藤花戦で初タイトル。以来毎年獲得を重ね、新記録に到達した。里見と毎月研究会を開く谷川浩司九段(59)は「タイトル戦翌日でも“研究会を入れてもらっていいです”と言ってくる。打ち込む姿勢が昔と変わらない」とその熱意を評価する。

 中学1年で女流2級に。対局のたび、故郷の島根県出雲市から夜行バスで東京へ通ったひたむきさは、10年以上女流のトップを維持しても変わらない。今では終盤の鋭さから「出雲のイナズマ」と称される。「地力を付けて、一般棋戦でも勝てるように」。その誇りを胸に、新たな頂を見据えた。

 ▼清水市代女流七段 初めてタイトル戦で盤を挟んだ日のことや、時のたつのも忘れるほど語り合ったあの日のことを、懐かしく思い出しております。これまで保ち続けてきた最多記録の43期を超す最初の方が、敬愛なる「里見香奈」その人であったことをとてもうれしく、そして誇りに思います。

 ▼日本将棋連盟佐藤康光会長 20代の若さで達成されたことにすごみを感じます。

続きを表示

この記事のフォト

2021年6月3日のニュース