週末深夜の酒のつまみにドラマ「恐怖新聞」

[ 2020年9月11日 12:30 ]

ドラマ「恐怖新聞」で主人公を演じる白石聖(C)東海テレビ
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 【牧 元一の孤人焦点】週末の深夜に自宅で一人、酒を飲みながらホラーを見るのは楽しい。先月29日にスタートしたフジテレビ系の連続ドラマ「恐怖新聞」(土曜後11・40)。怖いけれど離れがたく結果的にストレス解消になる。

 ドラマの原作は、つのだじろう氏の同名漫画。1973年から75年まで「週刊少年チャンピオン」で連載され、1日読むごとに100日ずつ寿命が縮まるという新聞が招く恐怖の物語が70年代のオカルトブームをけん引した。まだ子供だった当時は、あまりにも怖くて、まともに漫画を読めなかった記憶がある。

 なぜ今、ドラマで「恐怖新聞」なのか。制作する東海テレビの後藤勝利プロデューサーは「『元祖ルール系ホラー』と言っても過言ではない作品を、乙一さん(「GOTH」などで知られる小説家で、今回、シリーズ構成を担当)と一緒に現代にリブートさせたら面白そうだな、と思った」と説明する。近年、米ホラー映画の「IT」(〝それ〟が見えたら、終わり)「クワイエット・プレイス」(音を立てたら、即死)などルール系ホラーが人気を得ていることが背景にあるという。

 演出は、日本の大ヒットホラー映画「リング」などで知られる中田秀夫監督ら。後藤氏は「ホラーだから中田監督にオファーしたわけではなく、シーンの持つ意味に合わせて俳優のポテンシャルを確実に100%以上引き出し、熱量の高い映像に仕上げるスキルを高く評価してオファーさせていただいた」と話す。

 中田監督は「『恐怖新聞』はわれわれの少年時代の必読漫画。後年、『リング』で脚本の高橋洋さんと『呪いのビデオ』のイメージを検討していた時に再読したりもしたので、今回のドラマのお話をいただいた時は胸が躍った」と話す。

 主人公は原作では男子中学生だが、現代風の物語を新たに作るに当たり、女子大生に変更。昨年の連続ドラマ「絶対正義」の演技で好評を得た女優の白石聖を主演に抜てきした。白石は連ドラ初主演。後藤氏は「期待以上のお芝居で、視聴者に最終回まで応援し続けて頂けるようなヒロイン像を作ってくれた」と語る。

 ドラマの見どころのひとつが、白石の恐怖へのリアクションだ。ホラー作品はどんな役者がどのように怖がるかで、その魅力が大きく変化する。第1話で主人公が女子高生の飛び降り自殺に出くわす場面。顔全体に血を浴びた後、目を見開いて激しく呼吸する白石の姿が鬼気迫っていて良かった。その大きな瞳ときゃしゃな体はホラーとの親和性が高いようだ。

 母親役を黒木瞳が演じているのも見どころだ。黒木は中田監督のホラー映画「仄暗い水の底から」に主演するなど、このジャンルのベテラン。第2話で、亡くなった夫の遺影の前でボールペンをカチャカチャ鳴らす場面の無表情がやけに怖かった。

 後藤氏は「12日放送の第3話では、身近な人物が恐怖新聞の配達人だったと分かり、そこからまた加速して、ありとあらゆるバリエーションの怖さをお届けします」と話す。今週末の深夜もホラーをつまみに一人酒が進みそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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