「ただ今、コント中。」コロナ禍収録も座長サンド牽引!フジ、王道コント番組に新挑戦 DNAを次世代へ

[ 2020年8月29日 09:00 ]

新たな王道コント番組「ただ今、コント中。」の座長を務めたサンドウィッチマン。笑顔の伊達みきお(左)と富澤たけし(C)フジテレビ
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 お笑いコンビ「サンドウィッチマン」らがオール新作コントに挑むフジテレビの大型コント特番、土曜プレミアム「ただ今、コント中。」は29日午後9時から2時間10分にわたってオンエアされる。数々の人気コント番組を生んできた歴史を誇るフジが、新たな王道コント番組をゴールデン帯に放送。「近年、純粋なコント番組はコストがかかる上に、高視聴率もなかなか望めないという印象が強く、ゴールデンタイムやプライムタイムで放送するのは、もう難しいと思っていた」という同局の戸渡和孝チーフプロデューサーに、新挑戦となる企画意図や意義、注目ポイントを尋ねた。

 コントだけで構成される番組がフジのゴールデン帯で放送されるのは、国民的コメディアン・志村けんさん(享年70)の「志村けんのバカ殿様」(今年1月)「志村けんのだいじょうぶだぁ」(今年3月)シリーズ以来。サンドウィッチマンをはじめ「バイきんぐ」「かまいたち」ら実力派芸人や第7世代芸人、女優の伊藤沙莉(26)松井玲奈(29)やアイドルグループ「Snow Man」も登場。化学反応に期待が集まる。

 番組発表の際、サンドウィッチマンの伊達みきお(45)が「実は『コント番組やりたいですね』と我々が発信していて、それをフジテレビさんがのんでくださったんです。我々はテレビでコントを見てきた世代なので、これを見て『お笑いやってみたいな』なんて思ってくれる人が出てきたらいいですね。我々が思ったようにね。『お笑い番組といえばフジテレビ』ですから、そのフジテレビがコント番組を作る、というのがデカいですね」と“コント愛”を語っていたが、戸渡氏も「サンドウィッチマンさん…正確に言うと伊達さんから、弊社のスタッフ(幹部)に『一度、フジテレビでコント番組がやりたい』とおっしゃっていただいて」と説明。

 「近年、純粋なコント番組はコストがかかる上に、高視聴率もなかなか望めないという印象が強く、ゴールデンタイム(午後7~10時)やプライムタイム(午後7~11時)で放送するのは、もう難しいと思っていたのですが、今回はサンドさんの名前と勢いをお借りして、何とか企画が通ったという感じです。サンドさんのコントならば『今、見てみたい』と会社が判断したのだと思います」と番組誕生の経緯を明かした。

 1992年のフジテレビ入社以降、「めちゃ×2イケてるッ!」の前身「めちゃ×2モテたいッ!」の立ち上げから担当し、演出・チーフプロデューサーを担当。「人志松本のすべらない話」「IPPONグランプリ」「ENGEIグランドスラム」などの特番はあるものの「ずっとバラエティー、お笑い畑で育ってきた私としても、今、フジテレビのタイムテーブルの中に、お笑い番組がほとんど姿を消してしまっている現状は、やはり不甲斐ないという思いがありました。サンドさんの力を借りて『再びチャレンジさせてもらえた』という感謝の気持ちが強いです」

 一見してズバリ、コント番組だと分かるタイトル。伊達は「番組名が危うく『コントウィッチマン』になりかけて、全責任を負わされそうになったんですよ」と笑いを誘ったが、戸渡氏は「当初、制作としては『サンドウィッチマンの〇〇』といったような、サンドさんの名前を強調したい考えがあったのですが、サンドさんが『この番組は自分たちだけではなく、他の芸人さんやゲストたちと一緒に作るという意味で、自分たちの名前が入ったタイトルにはしたくない』と。私たちもその思いを深く理解したので、いくつかタイトル案を出した中から、最終的にお二人がこの『ただ今、コント中。』というタイトルを選びました。ストレートでとてもシンプルですが、純粋なコント番組をゴールデンタイムで見ることが難しい今、サンドさんと制作の思いが伝わるタイトルだと思います」と力を込めた。

 収録は8月、東京・台場の湾岸スタジオで3日間。生まれたコントは全23本に及ぶ。

 「フジテレビの従来のコント番組は収録中、演者さんは楽屋に戻らず、スタジオにあるテーブルで自分の出番がない時も他の人のコントを見ながら待つ、というのが伝統です。しかしコロナ禍で今回、そのような状況を作ることが安全上できませんでした。その分、演者の皆さんは多忙な中、事前に本読みやネタ合わせの時間を2日も割いてくれたり、サンドさんはプライベートでも2人だけで本の読み合わせをして本番に臨んでいただきました。伊達さんは自分が出ていないコントも全部楽屋のモニターで見ていて、演者さんたちに『面白かった』『ここが良かった』など、細かく声を掛けていらっしゃいました。今回の番組が“一座”だったとしたら、座長は確実に伊達さんですね」

 さらに「この番組は、総合演出の有川崇ディレクターがいなければ成立しませんでした。有川さんは『笑う犬の生活』からずっとコントを撮り続け、サンドさんとは10年にわたり、二人三脚でコントを作ってきたベテランディレクターです。コントを撮る作業は、バラエティーのジャンルの中でも、より専門職に近いです。僕の経験上、バラエティーのディレクターが全員コントを撮れるわけではありません。コントのプロット(設定)は思いつけても、撮るとなると特別な技術が必要になります。センスだけではどうにもならない、クリエイターというよりも職人に近い作業です。だから今回は、現在のテレビ界において数少ない現役の『コント職人』である有川ディレクターの下に、フジテレビの若手ディレクターを数名入れて、コントの作り方をイチから学ぶという貴重な体験をさせてもらっています。コントを撮ったことのあるディレクターが少なくなってきた今、このような機会を今後も継続して作っていくことは、数々の人気お笑い番組を生んできたフジテレビにとって大変重要だと感じています」と意義を強調。

 “お笑いのフジ”の伝統やDNAを次世代につなぎ「うれしいことに、出演者の皆さんが『またやりたい』とおっしゃってくれているので、第2弾、第3弾を何とか形にしたいです」とシリーズ化を視野に入れた。

 「視聴率の指標が変わり、テレビの作りが若者向けにシフトしていく中、この番組は座長であるサンドウィッチマンの世界観が強く影響を及ぼしているという意味において、世代や時代を問わない、老若男女、幅広い世代に笑っていただける王道のコント番組になっていると思います。ご年配の方には少し懐かしい、お子さんや若い方には新鮮に映る珠玉のコントが盛りだくさんです。是非、大勢の方に楽しんで、笑っていただきたいです」

 《王者3組》2007年M―1グランプリ王者・サンドウィッチマン、12年キングオブコント王者・バイきんぐ、17年キングオブコント王者・かまいたちの3組が揃うコントも。戸渡氏は「さすがに迫力がありました。コント日本代表がワンチームとなって生み出す笑いを、存分に堪能していただけると思います。ゲスト女優の伊藤沙莉さんは、やはり天才的なコメディエンヌでした。ゲストのキャスティングを進めていた時、たまたま『ノンストップ!』を見ていたら、伊藤さんが出演していて『今、一番やりたい仕事はコント番組』と答えてらっしゃって。すぐにオファーを出しました。もし次回もチャンスがあって、伊藤さんにご出演いただけるならば、伊藤さんが周りの芸人さんを困らせるくらいにボケまくるコントが見てみたいと思いました」

 【出演者】サンドウィッチマン、バイきんぐ、かまいたち、福田麻貴(3時のヒロイン)、しずる、わらふぢなるお、狩野英孝

 【ゲスト】あばれる君、伊藤沙莉、尾形貴弘(パンサー)、かなで(3時のヒロイン)、カンニング竹山、児嶋一哉(アンジャッシュ)、Snow Man、松井玲奈、ハナコ、ゆめっち(3時のヒロイン)、ゆりやんレトリィバァ(※50音順)

 ◆戸渡 和孝 1969年生まれ、兵庫県出身。早稲田大学卒業後、92年フジテレビ入社。「ダウンタウンのごっつええ感じ」のアシスタントディレクター(AD)を振り出しに「スターどっきり(秘)報告」「ミュージックフェア」を経て、96年スタートの「めちゃ×2イケてるッ!」は前身の「めちゃ×2モテたいッ!」の立ち上げから担当し、演出・チーフプロデューサーも務めた。「スモール3」など監修。現在はフジテレビ第二制作室部長。

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