「イラストレーター」先駆者、和田誠さん死去…妻・平野レミは憔悴

[ 2019年10月12日 05:30 ]

和田誠さん
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 人気作家の本の装丁やポスター、週刊誌の表紙などさまざまなジャンルで活躍したイラストレーターの和田誠(わだ・まこと)さんが7日午後6時57分、肺炎のため都内の病院で死去した。83歳。大阪市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、お別れの会が開かれる予定。イラストレーターという職業を定着させ、先駆者として一線で活躍を続けた。

 都会的なデザインながら素朴で温かみのあるタッチで愛された和田さんが旅立った。妻で料理愛好家の平野レミ(72)や事務所関係者によると、1年ほど前から体調を崩し、自宅で療養。年齢から来る体力の低下や暑さでなかなか体調が戻らず、平野や家族が献身的に看病を続けた。今年7月から都内の病院に入院。約3カ月後の今月7日、帰らぬ人となった。

 肺炎を患ってから和田さんは食事を取れなかったそうで、平野は「好きなご飯をたくさん作って、安らかな顔の横に置いてあげました」と手作り料理で最愛の夫を送ったことを明かした。そして「47年間、私の料理をおいしいおいしいって食べてくれて、本当にありがとう」と感謝した。

 和田家は芸能一家としても知られた。長男はロックバンド「トライセラトップス」のボーカルの和田唱(43)、妻は人気女優上野樹里(33)。次男でクリエーティブディレクターの和田率氏(40)の妻和田明日香(32)はタレントで美容料理研究家としても活躍。平野は「最後は家族みんなに見守られる中、安らかにお別れをしました」と報告した。

 周囲によると、パワフルな平野も最愛の人を失い、憔悴(しょうすい)しきっており、家族が温かく支えているという。

 和田さんはマルチな才能の持ち主だった。多摩美術大卒業後、広告デザイン会社に入社。タバコ「ハイライト」のデザインで頭角を現した。77年から40年以上にわたって「週刊文春」の表紙を手掛けたほか、星新一、丸谷才一、つかこうへい、村上春樹各氏ら数多くの作家、劇作家の本で装丁や挿絵を担当。エッセー執筆やアニメーション制作なども手掛けた。

 筋金入りの映画ファンが高じて、84年には「麻雀放浪記」(主演真田広之)で映画監督デビュー。88年の監督2作目「快盗ルビイ」(主演小泉今日子・真田広之)も脚光を浴びた。18年にはDREAMS COME TRUEのCDジャケットで虹のイラストを手掛け話題に。晩年まで第一人者として走り続けた。

 ◆和田 誠(わだ・まこと)1936年(昭11)4月10日生まれ、大阪市出身。多摩美術大卒業後、広告デザイン会社に入社。57年、手掛けたポスターが新人の登竜門「日宣美賞」受賞。64年にアニメ映画「殺人(マーダー)」を演出し、毎日映画コンクール・大藤信郎賞を獲得。68年独立後、数々の単行本や雑誌を担当。94年、菊池寛賞を受賞した。

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