「下町ロケット」伊與田英徳P 頼りは“自分の勘”阿部寛から深夜のメール「おっさんたちがドロくさく」

[ 2018年10月21日 14:00 ]

今秋のこの1本 民放敏腕プロデューサー

日曜劇場「下町ロケット」第2話の1場面(左から恵俊彰、立川談春、阿部寛、安田顕)(C)TBS
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 TBSの伊與田英徳プロデューサー(51)が手掛けるドラマは近年「半沢直樹」(2013年)「小さな巨人」(17年)「陸王」(同)といった働く男性が奮闘する姿を描くヒット作が目立つ。

 今秋は14日に初回を迎えた日曜劇場「下町ロケット」(日曜後9・00)を担当。「ブラックジャックによろしく」(03年)でチーフプロデューサーデビューしてから15年。出演者、福澤克雄監督(54)らスタッフと議論を重ね、作り上げていくスタイルだ。

 3年前に放送された前作は最終回の視聴率が22・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で15年度の民放ドラマで1位を記録。大きな期待の中で撮影が始まると深夜、主演の阿部寛(54)からメールが届く。

 「このシーンはこうした方がいいかもしれないですね。どう思いますか?」「熱をどれぐらい込めましょうか?」

 翌日に備えた熱い内容。「おっさんたちがドラマに負けないぐらいドロくさく作っています」と伊與田氏。

 ドラマは、かつて宇宙科学開発機構の研究員だった主人公が、ロケットの打ち上げ失敗の責任を取って辞職。現在は父が残した下町の工場「佃製作所」の経営者として第二の人生を送り、窮地に陥りながらも夢を追い求める姿を描く。撮影現場でも、どこでも、それぞれが納得するまでシーンの意味合いや心情、セリフの言い方などを何度も確認し合っていく場面が多く見られる。

 東京理科大を卒業後、出身地・愛知の制作会社で働いたが「ドラマを作りたい」と30歳でTBSに中途入社し、現在ではテレビ界を代表するヒットメーカー。「頼るのはデータなどではなく、自分が面白いと思ったものを作るようにしています。だから自分の勘がズレているなと反省することもありますよ」と自身の経験の上に立つ“ドラマ職人”だ。

 「50歳を過ぎて一つ一つに、より丁寧に向き合うようになりました。若い頃は機会は無限にあると思っていたけど、今は体力的にも精神的にも、いつまでドラマの現場に立てるか分からない」と力を込める。初回の視聴率は合格点の2桁13・9%。数字以上に視聴者からは「泣けた」「来週が楽しみ」という好意的な声が上がっている。おっさんたちの熱がジワリと広がりそうだ。

 ◆伊與田 英徳(いよだ・ひでのり)1967年(昭42)5月6日生まれ、愛知県出身の51歳。東京理科大卒。1998年にTBSにキャリア入社。「ヤンキー母校に帰る」(03年)「新参者」(10年)「ブラックペアン」(18年)なども担当した。

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