くら替え出馬は?てんびんにかけた末のリセット不能な小池劇場の脚本

[ 2017年10月1日 09:00 ]

9月27日、希望の党設立会見で拳を上げた小池百合子氏
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 【小池聡の今日も手探り】やはりと言うべきか、風起こしの才に長ける小池百合子東京都知事が吹かせた“希望の風”は相当強そうだ。新聞各社の緊急世論調査の数字を見ると、今のところ、希望の党はさながら“期待の党”とも言える。

 安倍晋三首相が解散を表明したのが9月25日。小池氏は同日、希望の旗揚げと代表就任を発表した。世論調査が実施されたのは毎日新聞と朝日新聞が26、27日。読売新聞は解散日で民進が希望への合流を決めた直後の28日夕から29日にかけて行った。具体的な数字は―。

 ◇比例代表投票先

 ▽毎日

 自民 29%

 希望 18%

 ▽朝日

 自民 32%

 希望 13%

 ▽読売

 自民 34%

 希望 19%

 ※いずれも自民が最多で希望が2番目。

 ◇内閣支持率

 ▽毎日 36%(9月2、3日の調査比3ポイント減)

 ▽朝日 36%(9月9、10日の調査比2ポイント減)

 ▽読売 43%(9月8〜10日の調査比7ポイント減)

 ◇内閣不支持率

 ▽毎日 42%(同6ポイント増)

 ▽朝日 39%(同1ポイント増)

 ▽読売 46%(同7ポイント増)

 これらの数字、特に比例投票先の数字をどう見るか。30年近くにわたり、選挙情勢と政局の分析をしてきた自民党関係者は「希望の数字はすごく高い。旗揚げしたばかりで、まだゴーストみたいな政党であることを考えれば、だ」と評価。その上で「政権交代を起こしうるほどまでには(数字は)伸び切っていない」と指摘した。今後の注目点である伸び代を左右する要素については「その1つはマスコミの扱い方。キーワードはメディアジャックだ」とし、「露出が大事。今は批判的な報道でもいい。“希望の党”の4文字が読者、視聴者にすり込まれるからだ。彼らにとっては無視されるのが一番つらいことだろう」と話した。

 もう1つの要素はむろん、小池氏のくら替え出馬の有無だ。衆院が解散した28日、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は記者団に「小池さん、(総選挙に)出てきてください」と20分間で8回も呼び掛け。菅義偉官房長官は翌29日の記者会見で「(小池氏は)出てくるのではないかと思っている」と言及した。

 “小池氏出馬”の既視感を醸成しているようにも映る。立候補しなかった場合は期待していた人たちの失望感を増幅させる効果があり、立候補したらしたで事前に危機感をあおり組織引き締めが図られたことになる。

 衆院議員時代から小池氏の政治手法を注視してきた政府関係者は「まさに不出馬時の一部有権者の失望感と、出馬時の都政放り投げ批判、小池さんは今、どちらが大きいか、てんびんにかけているところだろう」と話した。

 しがらみ自民批判の希望という強い風を起こしたことにより、自民からの猛反撃という風も吹きまくり、乱気流を発生させた感のある小池氏。この荒れ模様の中、一般世論の空気をどこまで読み切れるか。リセット不能で試される脚本。小池劇場最大の見せ場はもうすぐだ。

 ◆小池 聡(こいけ・さとる)1965年、東京都生まれ。89年、スポニチ入社。文化社会部所属。趣味は釣り。10数年前にデスク業務に就いた際、日帰り釣行が厳しくなった渓流でのフライフィッシングから海のルアー釣りに転向。基本は岸から気ままにターゲットを狙う「陸(おか)っぱり」。

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