渡瀬恒彦さん死去…72歳、15年から胆のうがんで闘病

[ 2017年3月16日 05:30 ]

死去した渡瀬恒彦さん
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 「事件」「震える舌」「仁義なき戦い」シリーズなどの映画や「十津川警部」「おみやさん」をはじめとする推理ドラマでも活躍した俳優の渡瀬恒彦(本名同じ)さんが14日午後11時18分、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。72歳。島根県出身。2015年から胆のうがんで闘病中だった。葬儀は近親者のみで営む。喪主は妻い保(いほ)さん。兄の渡哲也(75)とはまた違った男の魅力で人気を誇ったスター俳優だった。

 仕事復帰を信じて頑張った渡瀬さんが静かに息を引き取った。

 がんとの闘いは一進一退を繰り返し、家族の願いは届かなかった。1月21日に松方弘樹さんが74歳で死去した際には「年齢も近く、東映の撮影所で共に育ってきました。今は言葉が出ません」とコメントを出した。あれからまだ2カ月だった。

 渡瀬さんは15年夏ごろに体調不良を訴え、検査の結果、胆のうに悪性腫瘍が見つかって都内の大学病院に入院。5カ月間、仕事を入れず、抗がん剤の投与と放射線治療を受けた。効果が出て、少しずつ仕事復帰を果たしたが、完治せず、入退院を繰り返していた。

 早大法学部を除籍になった後、電通PRセンターに入社。兄の渡は既に日活の青春スターとしてスターの階段を駆け上がっていたが、渡瀬さんは芸能界に全く興味がなかった。そこを口説いたのが東映の岡田茂社長(当時)で、69年に同社と契約を結んだ。

 70年に石井輝男監督「殺し屋人別帳」でデビュー。「仁義なき戦い」シリーズなど数多くのやくざ映画やアクション作品で実力を養い、78年に出演した深作欣二監督の「赤穂城断絶」と野村芳太郎監督の「事件」の演技でブルーリボン賞助演男優賞などを受賞した。その後も「震える舌」「南極物語」などの話題作で存在感を見せる一方、映画界の斜陽化に伴ってテレビでの活躍も目立つようになった。「十津川警部」(TBS)「おみやさん」などは息の長いシリーズとなった。

 私生活では73年に女優の故大原麗子さんと結婚したが78年に離婚。翌79年に新潟県出身のOL、い保さん(69)と再婚し、息子と娘に恵まれた。04年の「十津川警部シリーズ 東北新幹線“はやて”殺人事件」で大原さんと26年ぶりの共演を果たし話題を呼んだ。大原さんが09年8月に62年の生涯を閉じると、同23日に営まれた「お別れの会」には渡瀬さんも参列し、別れを告げていた。

 ◆渡瀬 恒彦(わたせ・つねひこ)1944年(昭19)7月28日、島根県生まれ。69年に東映に入社。70年「殺し屋人別帳」でデビュー。主な代表作に映画「赤穂城断絶」「事件」「仁義なき戦い」シリーズ、ドラマ「十津川警部」「北アルプス山岳救助隊」「世直し公務員」「おみやさん」シリーズなど。兄は俳優の渡哲也(75)。

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