SCANDALが見せた余裕と進化 マニアうならせる斬新な試み

[ 2016年11月15日 10:30 ]

 人気ガールズバンド「SCANDAL」が大きな進化を遂げた。

 11月3日にZepp DiverCity TOKYOで行った「MANIA TOUR」。そのタイトルの通り、コアなファンに向けたセットリストとなったが、特にアンコール1曲目がマニアをうならせた。

 照明が消されたステージに現れた4人。それぞれが自分の演奏場所に足を進めたが、どうも雰囲気が違う。通常は前列左からベースのTOMOMI、ボーカルのHARUNA、ギターのMAMI、そして後列中央にドラムのRINA。ところが、暗い中で目を凝らすと前列中央にうっすらとRINAの姿が見えた。会場から「オーッ」「キャー」の歓声。おなじみの「SCANDAL BABY」の前奏が始まり、照明がつくと、前列左からベースのHARUNA、ボーカルのRINA、ギターのTOMOMI、後列中央にドラムのMAMIという布陣になっていた。つまり、4人全員の楽器と演奏場所を入れ替えたのだ。これまで30年以上にわたり、さまざまなロックコンサートを鑑賞してきたが、こんな光景を目にしたことはなかった。

 もちろん、演奏技術はいつもの4人より落ちるし、普段あまり歌わないRINAのボーカルもHARUNAに比べればつたない。しかし、プロのバンドが自分たちの曲をパートチェンジによってコピーするという斬新な試みに、このバンドに生まれた余裕と、エンターテイナーとしての発展を見た。

 演奏を終えたRINAは観客に対し、しゃれっ気たっぷりに「ありがとう!ボーカルのRINAです」とあいさつ。「ヨーロッパツアーのリハーサルの時、スタジオでギターを教えてもらっていた。ツアー中にレベルアップして、楽屋でみんなで合わせてみたら“イケるじゃん、これ!”ってなった。それで、ファイナルのパリで“やりましょう!!”と決まりました」と説明した。

 HARUNAは「せっかくマニアのツアーなので特別なことをしたいと思った」と笑顔。TOMOMI、MAMIはそれぞれ挑んだギター、ドラムについて「普段はもっとイケる」と、さらに上手に演奏できることを強調した。

 アンコール前の最新シングル「テイクミーアウト」の演奏にも進化が見えた。CDでは冒頭のギターのリフが印象的だが、この日はそのリフを飛ばし、いきなり本題に入るニューアレンジ。ライブでどう演奏したら曲が映えるかという音楽的センスを曲の途中でもはっきり耳にすることが出来た。

 今やガールズバンドの頂点に立ったSCANDALがさらなる高みへと上り詰めてゆく。(記者コラム)

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2016年11月15日のニュース