フジ「フルタチさん」は“本音感”重視 日7対決への注目歓迎

[ 2016年11月6日 08:00 ]

注目の新バラエティー「フルタチさん」でMCを務める古舘伊知郎(右はアシスタントの山崎夕貴アナウンサー)

 今年3月31日にテレビ朝日「報道ステーション」を卒業して以来、フリーアナウンサー・古舘伊知郎(61)の初のレギュラー番組となり、注目されるフジテレビの新バラエティー「フルタチさん」(日曜後7・00~8・54)が6日、スタートする。同局10月改編の目玉の1つで、日曜午後7時に民放各局の人気番組・新番組が並ぶ「日7対決」と話題を集める中、シンガリとして登場。中嶋優一チーフプロデューサーに企画意図や激戦区に臨む心境などを尋ねた。

◆入社面接から21年「あこがれの人」とのタッグ

 「ホンマでっか!?TV」「ダウンタウンなう」「ワイドナショー」など同局の看板バラエティー番組を手掛ける中嶋氏だが、もともとは報道志望。古舘へのイメージは「僕が小さい頃から古舘さんといえば、バラエティーの司会をしている人」。1995年、フジテレビ入社試験の面接で「日本一おもしろいニュース番組を作りたい。敢えて“どバラエティー”の古舘さんを起用してニュース番組を作りたい」と志望動機を語っていた。それから21年。「あこがれの人」とタッグを組むことになった。

 番組のキーワードは「ひっかかる」。世の中のあらゆる「ひっかかる」ことに迫る。アシスタントは同局・山崎夕貴アナウンサー(29)。初回のゲストは足立梨花(24)要潤(35)ビビる大木(42)ミッツ・マングローブ(41)森昌子(58)。初回は「トランプタワーがセントラルパークの眺望を独占できる理由」などを取り上げる。

 プロレス・F1実況→バラエティー司会→報道キャスターと40年近くテレビ界の第一線を走り続ける古舘の新番組。今度は何をするか。「報ステ」の12年間で培ったニュースへの視点という“武器”も生かした大人も楽しめる総合バラエティーを目指す。中嶋氏は「斜め後ろからの目線」を大事にしたいと語る。

 「まだ正面からぶつかりすぎている部分もあるので、世の中の常識を覆す、道行く人の肩を“斜め後ろから”つかむような論点が必要だと思います」と10月26日に行われた初収録の反省も踏まえながら、その意図を解説する。

 初回に扱う「トランプタワー」は、米大統領選の共和党候補で米不動産王ドナルド・トランプ氏(70)がニューヨークのマンハッタンに持つ超高層ビル。その“空中権”(土地の上空の空間の一部を使用する権利)に着目する。

 「ネタとしては悪くないんですが、“トランプ氏の空中権がひっかかる”という問い掛けだと、視聴者の正面からノックしている感じ。古舘さんも収録後の反省会でおっしゃったように、例えば“トランプ氏は大統領選に受かる気があるのか、そもそもひっかかる”という視点から入れば『大統領選への出馬は、今後のビジネスのため』『それはうがった見方』といった議論がスタジオで始まり、議論の材料としてトランプ氏の空中権を紹介すれば、もっとおもしろくなると思います」

◆日7対決「勝てるかどうかは言い訳なしの努力次第」

 日曜午後7時は視聴率トップの日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!」のほか、テレビ東京「モヤモヤさまぁ~ず2」も人気。10月16日からは新番組、テレビ朝日「日曜もアメトーーク!」、TBS「クイズ☆スター名鑑」が始まり、「フルタチさん」も加わって一層の激戦区に。「日7対決」と注目される。

 中嶋氏は「非常にいいことだと思っています。24時間、多種多様の過ごし方がある中、視聴者の皆さんに『この時間はテレビを見よう』と思っていただくこと自体が根本的に大事。今回のように“日7”が盛り上がるのは、とてもいいことだと思います」と歓迎。東京・秋葉原の電気街にはライバルがひしめくが「秋葉原に行けば、いい電気製品が買えるんだと、人が集まるわけですから。例えば今月は3万円、電気製品に使っちゃおうと、みんなが思うこと自体が重要です。それと一緒で、日曜午後7時にテレビをつければ、何かおもしろい番組がありそうだとリモコンを手に取っていただければ。その中で勝てるかどうかは言い訳なしの努力次第。そこをやらせてもらえるのは、とても光栄なことです」と激しいバトルに挑む。

◆今のバラエティーに必要な要素は「独自性」と「本音感」

 現在のバラエティー番組に必要なことを聞くと「一番大事なのは、できるだけどの番組にも似ていないこと。そして、表層だけで時間を埋めるような、取り繕ったような企画ではなく、“本音感”といったものがないといけないんじゃないでしょうか」と見解。

 古舘は存在そのものが独自性の塊。既視感のある番組にはならない。“本音感”の部分は“斜め後ろからの視点”に通じる。古舘も初回収録後の囲み取材で「ニュースの視点で言えば、医療大麻のことはものすごく興味ある」と切り出し、元女優の高樹沙耶容疑者(53)が大麻所持の疑いで現行犯逮捕されたことに言及。「(ワイドショーなどが)結構ビックリした顔して報道しているんですよ。ウソつけと思うんですよ。高樹沙耶さん、みんな(大麻を)やっていると思っていませんでした?『やっぱりね』って、誰か本音言えっていうんですよ」と古舘節。“本音”というキーワードが早くも飛び出していた。

 中嶋氏の考える要素は揃った。唯一無二のコンテンツとして定着し、「日7対決」を勝ち抜けるか。番組の動向を見守りたい。

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