全国にパブリックアート整備 アニメ“聖地”88カ所巡礼も楽しみ

[ 2016年10月7日 08:45 ]

秋田空港に飾られた「釣りキチ三平・山魚女(やまめ)群泳」の巨大壁画
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 釣り漫画「釣りキチ三平」の巨大壁画が秋田空港(秋田市)の壁面に飾られると聞き、現地取材した。

 幅6・7メートル、高さ3・5メートルの陶板レリーフ製。タイトルは「釣りキチ三平・山魚女(ヤマメ)群泳」で、秋田県と山形県にまたがる東北の名峰・鳥海山に向かって泳ぐヤマメの群れの中で、三平が竿を構えて立っている。作者の矢口高雄氏が秋田県出身であることから、同空港に設置された。

 漫画を題材とし、空港に置かれたパブリックアートは3例目。昨年の春から「AKIRA」で知られる大友克洋氏の陶板レリーフ「金華童子」(仙台空港)と、故水木しげる氏による「ゲゲゲの鬼太郎」のステンドグラス(鳥取・米子空港)、そして三平の壁画が次々に作られた。

 企画・制作はいずれも日本交通文化協会。1972年、東京駅の「天地創造」の巨大ステンドグラスを皮切りに、全国の公共施設にパブリックアートを設置している。

 同社のスタッフによると「漫画やアニメは国内だけでなく、海外の人にも反応がいい。日本各地の空港に“ご当地漫画”や“ご当地アニメ”のパブリックアートを作っていきたい」という。

 三平壁画の除幕式で矢口氏も驚いていたが、今や漫画、アニメは「クールジャパンと世界に認められた、日本文化の代表格」となった。各地の自治体も、国内外の観光客を呼び込むコンテンツとして期待している。

 実は三平壁画も、海外の漫画・アニメファンへのアピールが期待されているそうだ。意外だが「釣りキチ三平」はイタリアで人気が高いという。アニメ版がアジア、欧州各国で放送されたが、イタリアでは熱狂的なファンを生んだ。“何かに熱中する人”を“サンペイ”と呼ぶこともあるそうだ。三平の釣りへの熱中ぶりからできた言葉だという。

 三平のように、意外な国で意外な人気になっている作品は多い。米ハワイで石ノ森章太郎氏の「キカイダー」が、フランスで永井豪氏の「UFOロボ グレンダイザー」が社会現象になるほど人気があった。

 海外ファンはさておき、日本各地の空港に“各都道府県代表”の漫画、アニメパブリックアートが飾られるだけでも楽しみな計画だ。だが、日本交通文化協会は数ある人気作品から何を選ぶか相当迷っていることだろう。

 漫画やアニメと地域に関する話題では、先月半ばに発足した「アニメツーリズム協会」も注目。理事長は「機動戦士ガンダム」シリーズの富野由悠季監督。

 最近は、作品の舞台をめぐる“聖地巡礼”が人気だが、同協会では漫画やアニメの舞台となった“聖地”88カ所をweb投票で選定し、来年をメドに発表する。

 「88」という数字は、もちろん四国八八カ所霊場巡り(お遍路)をイメージしたもので、“巡礼ルート”を官民連携で整備するという。

 こちらも楽しみな計画だが、ファンは、既に各地で起きているような地元住民のトラブルだけは起きないよう注意してほしい。

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2016年10月7日のニュース