恵俊彰「下町ロケット」は50歳の挑戦 「ひるおび」司会と掛け持ち

[ 2015年12月18日 10:00 ]

「下町ロケット」最終回に再登場する神谷弁護士役の恵俊彰(C)TBS

 タレントの恵俊彰(50)がTBS日曜劇場「下町ロケット」(日曜後9・00)に再登場する。前半パート「ロケット編」で佃製作所を救う弁護士・神谷修一役を好演して話題を呼んだが、20日放送の最終回(第10話)に出演。TBS「ひるおび!」(月~金曜前11・00)の司会を務める中、今年は夏に舞台、秋に今ドラマと本格的に俳優業を掛け持ち。稽古や撮影が未明に及ぶこともあったが、50歳という節目の年のチャレンジだった。

 佃製作所はライバル企業・ナカシマ工業から特許侵害で訴えられ、弁護を担当したのが神谷。第2話、裁判官の特徴を見抜いてマニュアル答弁をやめ、佃(阿部寛)の熱弁を引き出し、見事、勝訴に等しい和解を導いた。神谷弁護士の活躍に拍手喝采。恵の抑制の効いた演技に絶賛の声が相次いだ。

 「一応、毎日、生放送をやっているんですが、僕がテレビに出ているのを初めて見たような反響が多かったです。ホントにビックリしました。『久しぶり』というメール自体が40年ぶりぐらいの田舎の友達から『よかったよー、弁護士』とメールが来たり。家族が行く病院の先生からも『ご主人に伝えてください。下町ロケット、本当によかったです』と初めてママ(妻)が話し掛けられたり。今までとは反応が違ったのは確かです。ありがたいですね」

 人工心臓と人工弁をテーマにした後半パート「ガウディ計画」は第6話からスタート。原作になった直木賞作家・池井戸潤氏(52)の最新作「下町ロケット2 ガウディ計画」を読み、神谷弁護士が再登場することは知っていたが「そこがドラマのシーンとして作られるかどうかは分からなかったんですが、後半にも出たいとは思っていました。恋人でいえば『また会おうね』という感じが続いているような感覚」と表現し、実際に再出演が決まった際には「うれしかったですよ」。主演の阿部とも「最終回に呼ばれました」「待っております」とメールのやり取りをした。

 恵の最終回分の撮影は12日夜から13日明け方に行われた。最終回直前には、午後7時から2時間スペシャル「超緊急特別ドラマ企画 下町ロケット~最終章」を緊急編成。第1話から第9話の感動シーンを再編集し、さらに、この2時間スペシャル用に新しく映像を加える。神谷弁護士は番組のストーリーテラー的な役割を担い、この部分は14日に「ひるおび!」が終わってから夜中までかかって撮影した。

 2009年4月期から「ひるおび!」の司会。今年は7~8月に明石家さんま(60)の主演舞台「七人ぐらいの兵士」の14年ぶり再演にオリジナルキャストとして出演。秋は「下町ロケット」と演技の仕事を入れた。もともとNHK大河ドラマ「毛利元就」TBS日曜劇場「サラリーマン金太郎」などで俳優としても活躍。「ひるおび!」スタート後もドラマにゲスト出演するなどしてきたが、今回のように本格的に俳優業と並行するのは初となった。

 「6月に舞台の稽古、7月に東京公演、8月に大阪公演、9月から『下町ロケット』。気持ちが切れずに、演じるということに臨むことができました。そういう意味では、とてもいい1年。もしも舞台がなく、いきなり『下町ロケット』だったら、正直できたかどうか…というぐらいです」と打ち明けた。

 「下町ロケット」の演出はTBS「半沢直樹」などで知られる福澤克雄監督(51)。恵は初の福澤組で「福澤監督の撮影は独特。リハーサルでためたものを本番にぶつけるというやり方ではなく、最初から本番で、同じシーンを10回ぐらいやる感じ。全部、本番なので、演者にはどこがオンエアに使われるか分からないという緊張感があります」。1発目から本番ということは、言ってみれば、生の舞台と同じようなもの。「映像は練習できるという頭があったんですが『下町ロケット』の前にさんまさんの舞台をやっていたおかげで、最初から本番という意識でいられました」と奏功した。

 「ひるおび!」との掛け持ちも舞台で鍛えられた。さんまが多忙を極めるため、舞台の稽古は1カ月、連日のように午後10時以降にスタート。終わるのは午前3~4時。「そこで体力がついたといいますか、心構えが整ったといいますか」。「下町ロケット」第2話の法廷シーンの撮影は午前3時すぎまでかかり、2~3時間の睡眠で「ひるおび!」に直行したが「6月の方が全然きつかったです」と振り返った。

 司会と演技は「使う筋肉が違う感じです。むしろ活性化されるというか。『ひるおび!』にとってもよかったですし」と意外な効果があった。セリフのインプット・アウトプットで「新聞を読むスピードとか、人と話をするスピードとかが早くなった気がして。むしろ、もっと前からやっておけばよかった」。本格的に俳優業を並行することに、実は「すごくビビッていたんですよ。どちらかと言うと、役を引きずるタイプだったので『ひるおび!』をやりながらだと影響が出るのかなと正直思っていたんです」。それでも、昨年12月に50歳になり、今年は節目の年。「自分を後押しする年齢というか、区切りのタイミングだったので。『今年はやろう!』 と決めていました。舞台も『下町ロケット』もすごく楽しかったです」とチャレンジの1年だったことを明かし、充実の表情を浮かべた。

 司会のイメージをいい意味で裏切った「下町ロケット」の熱演。「『こんなこともやるんだ』と思っていただけたのは、僕にとっては大きかったと思います」と収穫を強調。今後のオファー殺到も予想されるが「こういうのって、ご縁だと思うんですよね。役者さんなら『次はどんな役』ということだと思いますが、基本的に僕は役者ではなく、テレビの人。自分の心が動く作品で、タイミングも合えばですが、お話(オファー)がないと成立しないものなので。『また来年もやりたいです!』というより、自分がお手伝いできる状況が整えば」と俳優業へのスタンスを示した。

続きを表示

2015年12月18日のニュース