医療スタッフが綿密指導「コウノドリ」のリアリティー支える舞台裏

[ 2015年12月18日 10:25 ]

「コウノドリ」の主演を務める綾野剛(C)TBS

 中盤視聴率1桁に落ちながら、第8話(4日放送)で最高視聴率となる12・6%をマークしたTBSの医療ドラマ「コウノドリ」(金曜後10・00)が18日、最終話を迎える。専門的な部分もありながら視聴者を置いていかないリアルな描写の裏には、医療現場で最前線に立っている専門家たちの手厚いサポートがあった。

 綾野剛(33)演じる主役・鴻鳥サクラのモデルとなっているりんくう総合医療センター・産婦人科の荻田和秀氏を始めとして、取材協力に3人の医師が名を連ねる。さらに医療監修や医療指導、助産師指導、エコー画像協力など10人を超える医療関係者が制作をバックアップ。撮影中はスタッフとともにモニターを凝視し、綿密なチェックをしていた。

 綾野なら産科医、吉田羊(年齢非公表)なら助産師といったように、出演者がそれぞれ自身が演じる役柄の専門家に不自然な点はないか、逐一確認していたという。TBSの峠田浩プロデューサーは「キャストと医療チームが本当に二人羽織みたいな感じになって作り上げていきました。綾野さんは(医療指導の)渡辺理子先生や荻田先生に暇さえあれば話を聞いているという感じで。現場の方がリアルに考えていることを尋ねていましたね」とキャストと専門家の強固なタッグがリアルな映像に結びついたと胸を張った。

 また、専門用語についても意識した。「綾野さんがよく言っていたんです。『サクラが患者さんや妊婦さんに難しい言葉を使うはずがない』と。医者同士で話す時は専門用語もまじえるというメリハリをつけました。患者さんに説明する場面でのセリフで、『今こういうことが起きているんだ」と視聴者の方にもわかってもらいやすかったのではないかと思います」(峠田プロデューサー)。最終話でも、心肺停止になった妊婦と赤ちゃんを助けるための心肺蘇生術「死線期帝王切開術」を描く。まだ日本では数例しかない珍しい手術だ。

 クランクアップには撮影に関わった多くの医療関係者が集まり、キャストやスタッフをねぎらった。ある医師からは「この世界って今まで日の当たる場所じゃなかった。医療ドラマでもそんなに描かれていない場所。今回ドラマという形で産科でも新生児科でもいろんな人に知ってもらえたのが本当にうれしい。改めて自分たちがやっている仕事は尊い良い仕事なんだなと感じることができました」と感謝の言葉もあったという。

 峠田プロデューサーは「産科の先生ってすごく頑張っているんだなとどなたかが思ってくださって、産科医になりたい、新生児科医になりたい、看護師になりたい、助産師になりたい、と思う人が1人でもいてくれたらうれしいなと思いますね」と作品に対する思い入れを語った。

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2015年12月18日のニュース