作家の野坂昭如さん死去 85歳 「火垂るの墓」で直木賞

[ 2015年12月10日 10:40 ]

野坂昭如さん

 直木賞受賞作「火垂るの墓」などで知られる作家の野坂昭如(のさか・あきゆき)さんが9日午後10時37分ごろ、心不全のため東京都内の病院で死去した。85歳。神奈川県鎌倉市出身。葬儀・告別式の日取りは未定。

 2003年に脳梗塞で倒れ、闘病しながら創作活動を続けていた。自宅で療養中だったが、9日に自宅で意識を失い、病院に運ばれたが、死亡が確認された。

 新潟大学を中退した後、1950年(昭25)に早大第一文学部仏文科に入学。中退後、57年に放送作家としてテレビのお笑い番組でコントの台本を書き、CMソングの作詞を手掛けた。

 63年に小説「エロ事師」で作家デビュー。68年に自身の戦時中の体験を基に綴った「火垂るの墓」「アメリカひじき」で直木賞受賞。「焼跡闇市派」を自称し、小説だけでなく評論などで独自の考えを訴え続けた。一方、童謡「おもちゃのチャチャチャ」の作詞も手掛け、63年の「第5回日本レコード大賞」で同曲が童謡賞を受賞。自身もシングル、アルバム合わせて10枚以上のレコードを出し、76年にはサントリーのCMで歌いながら登場。「みんな悩んで大きくなった オレもおまえも大物だ」というフレーズが子供から大人まで人気となった。

 サングラスがトレードマーク。雑誌編集長として掲載した「四畳半襖の下張」がわいせつ文書で摘発され、80年に罰金刑が確定した。

 83年の参院選挙で第二院クラブから比例代表で出馬し、初当選。半年後の衆院選では参院議員を辞し、ロッキード事件で1審有罪判決を受けた田中角栄元首相の当選を阻止すべく、新潟3区から出馬して注目されたが、落選した。

 脳梗塞を患ってからはリハビリを続けながら、旧友の永六輔(82)らが出演するTBSラジオ「六輔七転八倒九十分」で毎週近況を報告。週刊誌や新聞にもコーナーを持っていた。

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