高倉健さん映画ロケ駅、廃止へ…JR北海道、経営悪化で

[ 2015年8月11日 05:30 ]

JR北海道が廃止の方針を決めた留萌線の増毛駅

 JR北海道の島田修社長は10日、北西部を走る留萌線のうち留萌―増毛(ましけ)間を2016年度中に廃止する方針を、地元の留萌市と増毛町に正式に伝えた。経営悪化が続く同社は、利用客の少ない不採算路線の廃止を検討していた。

 留萌線の西端にある増毛駅は、昨年83歳で死去した俳優高倉健さんが主演し、1981年に公開された映画「駅 STATION」のロケ地となったことで知られる。無人駅で、駅舎は現在、映画撮影当時の半分に縮小されている。同町の商工観光課によると「多くの人に(駅に)来られても対応できないため、これまで積極的にPRしてこなかった」という。廃線後、駅舎をどうするかは未定。同課は「これを機に整備して、観光資源としたいとの声もある」と話した。

 映画で「風待食堂」として使われた旧多田商店(現増毛町駅前観光案内所)には、健さんの養女小田貴(たか)さんからの手紙が飾られている。健さんの死後の昨年11月、同所の記帳台で書かれた688人の記帳名簿を所属事務所に送った際に、届いたお礼の手紙だ。こちらも名所となっていただけに、今後の行方が注目される。

 JR北海道によると、留萌線は深川市と増毛町の全長66・8キロを結ぶ。そのうち留萌―増毛間は特に利用者が少ないという。1日あたりの輸送人員は、87年度は480人だったが、昨年度は39人にまで減少。同区間の13年度の営業収入は700万円。経費はその約25倍で、年間約1億6000万円の赤字だった。

 同地区では、線路にほぼ平行して路線バスが運行。本数も鉄道の上下線13本に対して、バスは22本。バスが住民の生活の足となっているという。

 この日、島田社長が増毛町を訪れ、同町の堀雅志町長と留萌市の高橋定敏市長と面会し、伝達した。高橋市長は「実際に乗って、利用客の少なさを感じていたので、やむを得ないという思いはある」と話した。

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2015年8月11日のニュース