まんだらけ、顔写真公開中止 「力を信じ」捜査を警察に一任

[ 2014年8月14日 05:30 ]

期限が過ぎても、まんだらけ「変や」に鉄人28号が戻ることはなかった

 漫画「鉄人28号」のブリキ製おもちゃ(25万円)を万引したとされる人物に対し、返さなければ顔写真をホームページ(HP)上で公開すると警告していた古物商「まんだらけ」(東京都中野区)は13日、公開を中止した。12日までを期限に返すよう求めていたが、「警視庁の要請により」として態度を軟化。ただ13日も、閉店時刻の午後8時を過ぎても鉄人28号が戻ったとの発表はなかった。

 “期限”が過ぎた13日午前、まんだらけはHPで「警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止する」との文書を公表した。被害届を受理した警視庁中野署から「捜査に支障が出る恐れがある」として、写真は公開しないよう申し入れがあったという。

 また、まんだらけによると、犯人の身内らしき女性から「(閉店時間の午後)8時までに返せばいいのだろうか」との電話があった。まんだらけ側は、「商品の自主的な返還を願っていたが、(返還期限とした)12日の夜には報道陣が店に集まり、犯人が入れる状況になかった」と説明した。

 まんだらけ中野店にあり、鉄人28号のおもちゃを盗まれた店舗「変や」は13日、通常通り正午に開店。盗難翌日の今月5日から店頭に張られていた警告文は剥がされた。

 しかし、広報担当者は「犯人から商品の返却はまだない。この件については今後、警察の手に任せることになったので、発表することはありません」とコメント。まんだらけ側の文書でも「証拠も十分あり、今後は警察の力を信じ任せていく」としている。

 強い姿勢から一転し、写真公開を踏みとどまった同社の対応について、個人情報保護に詳しいNPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「公権力のないまんだらけが写真を公開することは私的な立場で社会的制裁を加えることになり、企業として一線を越える。公開を思いとどまったのは当然」と述べた。一方、近畿地方を中心に書店チェーンを展開するふたば書房(京都市)の洞本昌哉社長は「小売店は万引に苦しんでいるのに対抗策がない。まんだらけは思い切った対応を取った」と評価。同じく万引に苦しむ立場として理解を示した。

 【「鉄人28号」盗難経過】

 ▼4日午後5時ごろ 東京都中野区の複合施設「中野ブロードウェイ」にあるまんだらけ中野店の4階店舗「変や」のショーケースから「鉄人28号」のブリキ製おもちゃが盗難。同日、中野署に被害届提出

 ▼5日 HP上、店頭で警告文を掲載

 ▼8日 まんだらけの古川益蔵社長が文書で「期日までに返還なき場合は画像公開、犯人の特定という処置を行う予定です」とコメント

 ▼12日 中野署が、まんだらけに顔写真を公開しないよう申し入れ。まんだらけ側は公開の意向に変更がないとした

 ▼13日 顔写真公開の中止を発表

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