三津五郎 すい臓がんだった…切除し経過良好「また元気な姿を」

[ 2013年10月3日 06:00 ]

手術でうけた傷の説明をする板東三津五郎

 病気療養中の歌舞伎俳優の坂東三津五郎(57)が2日、都内で会見し、9月にすい臓がんを切除する手術を受けたことを明らかにした。同日午前に退院したばかりで「術後の経過も非常に良好で、体調も全く悪くない」と穏やかな笑顔で報告した。少しやせた印象だが、しっかりした足取りで登場し「しばらく休めという天の啓示だと思う」と話した。

 体調不良については、8月26日付のスポニチ本紙が「九月大歌舞伎」(9月1~25日、東京・新橋演舞場)降板を報じて明らかになった。同日に三津五郎はすい腫瘍のため、治療を受けることを発表し、9月は休演した。

 この日の会見では経過も説明。7月に受けた健康診断で腫瘍が見つかり、8月末に都内の病院に入院、9月3日にすい臓すい体尾部にできた腫瘍を切除。「残念ながら悪性だった」とし、「祖母がすい臓がんで亡くなったので、ショックがあったが、早期で切除できると聞いて病室でも元気でおりました」と話した。

 8月の「納涼歌舞伎」は、体の異常を知りながら務め上げていた。昨年12月に他界した盟友・中村勘三郎さんと立ち上げた公演で、今年は4年ぶりの復活。「僕までいなくなるわけにはいかないと思った」と秘めた気持ちがあったという。今年2月には市川団十郎さんが死去。「歌舞伎界で不幸が続く中、どういう天の意思なのかと思った」と揺れた思いも打ち明けた。

 出演予定だった11月の巡業公演と12月の東京・歌舞伎座公演は休演し、治療とリハビリに専念する。「また元気な姿をご覧いただけるよう努力を続けます」。復帰を力強く誓った。

 ▼横浜市・福田医院福田伴男院長 すい臓がんは患部の部分切除が有効な治療だが、初期段階では自覚症状がほとんどないのがやっかい。6割程度の患者が、手術できないほど進行してしまっているのが現状だ。三津五郎さんはがんが早期に発見できたことや、切除が難しい頭部ではなく尾部に病巣があったということは、まさに幸運と言える。50代と体力もある年齢なので、3カ月あれば十分復帰できるだろう。ただ、残ったすい臓にがんが再発したり、別の臓器に転移している危険性は残っており、毎月検査して、追跡していくことは不可欠となる。

 ▽すい臓がん 早期では特異的な症状がないのに加え、臓器が胃や十二指腸、ひ臓などに囲まれているため、見つけるのが非常に難しいとされる。臓器の真ん中を通る「すい管」のがんであるケースが9割以上。糖分をエネルギーに変えるインスリンが分泌されなくなったり、腹痛や黄疸(おうだん)などの症状が出る。肉食や喫煙、糖尿病などが危険因子に挙げられる。

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2013年10月3日のニュース