かぐや姫役・朝倉あき 大抜てきの決め手は“わがままな声”

[ 2013年9月17日 17:50 ]

「かぐや姫の物語」中間報告会見に出席した朝倉あき

 スタジオジブリの最新作で高畑勲監督(77)の14年ぶりの新作となる「かぐや姫の物語」(11月23日公開)の中間報告会見が17日、都内で行われ、ヒロインのかぐや姫の声を女優の朝倉あき(21)が演じることが発表された。

 今作が声優初挑戦となる朝倉はNHK連続テレビ小説「てっぱん」「純と愛」、映画「神様のカルテ」などで出演した若手女優で、2010年に大役をオーディションで勝ち取った。朝倉は「幼い頃から家族で慣れ親しんでいるジブリ(作品)に、大勢の方が見ているジブリ(作品)にこうして出させていたくので、最初はものすごく緊張して、うれしくて、とても幸せだなと思った」と大抜てきを素直に喜びつつも、「ずっと緊張しています。こういう年でこういう作品に出合えることもめったにないことなので、私のすべてを注ぎ込もうという気合が幸せ感と一緒にある」と気を引き締めた。

 同作の西村義明プロデューサー(35)は「かぐや姫の声がなかなか見つからなかった。高畑さんは今の女優さんの声は受け身の声が多い。自分の意思を持った声がないと、なかなか見つからなかった。オーディションをやっても全然見つからなかったが、朝倉あきちゃんが声を発した瞬間に、(高畑監督が)僕の顔を見て“彼女だったら可能性がある”と言った。彼女の声はわがまま、自分の意思を持っている女性だと言った」とオーディションでの決め手を明かすと、朝倉は「(普段は)むしろ逆なんです。初めて聞きました」と意外な表情を見せた。朝倉自身はオーディションでの手応えはなかったといい、「オーディションの時はボロボロで、やった瞬間にダメだと思った。何にも自分の声が届かないと思って、オーディションの帰りは泣いて帰ったぐらい。すごいダメだった思い出があった」と当時を振り返った。

 高畑監督からは「悲しみ方が良かったと言われた」という朝倉。あまり「ほめられている感じがしなかった」というが、「(最初は)絵コンテを見て、声を入れてましたけど、どういう人物なんだろうと想像してやっていた。映像を見て、リアルにこういう人物であるというかぐや姫像が想像できたのと、自分自身も何か成長があったのか、かぐや姫の悲しい部分も自分の中に入ってきた」と今ではそれも理解できるという。2日後に控える残りのアフレコに気合を入れ直した。

 鈴木敏夫プロデューサー(65)によると、「かぐや姫の物語」は宮崎駿監督(72)が場面設定・画面構成を担当し、高畑勲監督が演出を手掛けたテレビアニメ「アルプスの少女 ハイジ」と通じるところがあるという。ともに短い原作でありながら、主人公の心情を入れることで完成させており、「『かぐや姫の物語』はハイジと同じことをやっている。(2人で)いつの日か、日本を舞台にしたハイジを作ってみたいと言っていたらしい」とエピソードを披露。朝倉にも「ハイジへのオマージュのシーンがいろいろある。見比べると面白い」と視聴を勧めると、朝倉も「見ます。これを見ないといけないです」とすぐにも見ることを約束していた。

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