08年の公演称え…勘三郎さん、ルーマニアで“殿堂入り”

[ 2013年6月17日 07:57 ]

ルーマニア・シビウの歩道「ウォーク・オブ・フェイム」でシビウ市内の歩道に埋め込まれた中村勘三郎さんのプレー

 昨年12月に死去した中村勘三郎さん(享年57)がルーマニアで開催された「第20回シビウ国際演劇祭」で表彰され、15日(日本時間16日未明)、シビウ市内で式典が行われた。08年5月に同演劇祭で歌舞伎を上演し、大好評を博したのを記念したもの。主催者は市内の歩道に、米ハリウッドの「ウオーク・オブ・フェーム」のような星形のネームプレートを埋め込み、勘三郎さんの功績を称えた。

 「NAKAMURA KANZABURO」の名前の下に、18代目を意味するローマ数字の「XV3」。勘三郎さんのネームプレートは、英国、ドイツなど世界各国の演劇に携わる6人のものとともに、お披露目された。勘三郎さんの友人で演出家の串田和美氏(70、写真)が立ち会った。

 勘三郎さんは08年、ヨーロッパ3大演劇祭の一つ、シビウ国際演劇祭に招待され、串田氏演出の「夏祭浪花鑑」を上演。公演日が誕生日だったことからカーテンコールでは三味線で「ハッピーバースデー」を自ら演奏。日本の古典芸能のイメージを打ち破る仕掛けで、欧州の観客を沸かせた。

 同演劇祭は今年、節目の20回目を迎え、記念としてシビウの文化、芸術などの発展に貢献した人物の名前をプレートにして埋め込む「ウオーク・オブ・フェーム」を企画。その初回の1人として、勘三郎さんを選んだ。同演劇祭とシビウ市は、プレートのある一角を“演劇の聖地”にしたい考え。著名人約2500人のプレートがある米ハリウッドの「ウオーク・オブ・フェーム」のような世界的観光地に育つ可能性もある。

 市内のホールでは表彰式典も行われ、串田氏が代理として出席。同演劇祭のコンスタンティン・キリアック総監督は「勘三郎さんの公演の素晴らしさは、ずっと私たちの心に残るでしょう」と話した。所属事務所関係者が、昨年12月の本葬で掲げられた遺影と同じ写真を持参。勘三郎さんは客席から晴れ舞台の様子を見守った。

 長男の中村勘九郎(31)、次男の中村七之助(30)は歌舞伎座6月公演に出演中のため渡航できなかった。勘九郎は「父は、シビウ公演は江戸時代にタイムスリップしたような貴重な体験ができたと言っておりました。栄誉ある賞をいただき、父も喜んでいると思います」と文書でコメントした。

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2013年6月17日のニュース