菊水丸 甲状腺乳頭がん手術「30代の声に戻れると言われた」

[ 2013年1月7日 06:00 ]

昨年12月に甲状腺乳頭がんで手術を受けた河内家菊水丸

 伝統河内音頭継承者で、タレントの河内家菊水丸(49)が、甲状腺乳頭がんで手術を受けていたことが分かった。所属事務所の吉本興業が6日、発表。昨年10月に診断され、12月25日に大阪市内の病院で摘出手術を受けた。順調な回復を見せ、7日に退院するという。

 「49歳で引退か、という思いがよぎった」。50代を目前に受けたがん宣告。しかも患部は声帯に近い場所。歌手の命である声を失う危機に、いきなり直面した。

 異変を感じたのは昨年10月8日。大阪・国立文楽劇場で開いた独演会の終盤で突然、左側ののどからリンパにかけて激痛が走ったという。終演後も、飲みこむ際に引っかかるような違和感が続いた。「魚の骨でも刺さってるのか」とエコー検査を受けると、甲状腺の左葉(左側)に15ミリの乳頭がんが見つかった。がんはリンパ節に転移し、気管支にも浸潤していた。

 兵庫県内の甲状腺専門医院では、手術の際に「気管切開する」と言われた。「切開すると歌うどころか、しゃべることも困難になる。舞台に立つ人間にはつら過ぎる」と知人の医師に相談すると、大阪警察病院(大阪市天王寺区)を紹介され、ここで気管切開せずに手術できることになった。

 12月16日に年内の仕事を終え、21日に入院。25日に約5時間にわたる甲状腺の全摘出やリンパ節、気管支のがん切除手術を受け、「がんはすべて取れた」という。

 術後は歩行、発声などのリハビリを行い順調に回復。この日、スポニチ本紙取材に元気な声で対応した。「がんに圧迫されていた声帯が元に戻って声が出やすくなるんだとか。主治医には30代の声に戻れると言われた」という。術後に声帯の状態を確かめるために発した「あー!」という第一声は部屋中に大きく響き渡り、「確かに声が若返った気がする」と、“ケガの功名”に声を弾ませた。

 今後、2月下旬までは自宅療養し、医師の指示を仰ぎながら3月からの本格復帰を目指す。「ことしの盆踊りが楽しみ」と、早くも夏に思いをはせていた。

 ▽甲状腺がん 頸部(けいぶ)の正面下方、喉頭に続く気管をとりまくように位置する甲状腺に生ずる悪性腫瘍。乳頭がん、濾胞(ろほう)がんなどがあり、約90%が乳頭がんに分類される。しこりや喉の違和感、声のかすれなどが主な自覚症状。甲状腺は蝶のような形をしており、右側を右葉、左側を左葉と呼ぶ。手術は患部のある片側の切除、両側の摘出(全摘出)など。進行が遅いため、10ミリ以下なら手術せずに経過を観察することもある。

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2013年1月7日のニュース