「原爆小景」など幅広く…作曲家の林光さん死去 

[ 2012年1月7日 00:11 ]

 合唱曲「原爆小景」や日本語のオペラ作品、映画音楽など多彩な分野で活躍、日本を代表する作曲家の林光(はやし・ひかる)さんが5日午後、多臓器不全のため東京都内の病院で死去した。80歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。後日お別れの会を開く予定。

 小学生で尾高尚忠に師事、作曲を始めた。東京芸大に進学するが、既成の道に疑問を抱き中退。外山雄三さんらとともに独自の音楽の世界を切り開いた。

 広島で被爆した原民喜の詩をもとに1958年、混声合唱曲「水ヲ下サイ」を発表。これを第1章とした「原爆小景」は、完結に40年以上を費やすライフワークとなった。

 日本語によるオペラの創造を目指す「オペラシアターこんにゃく座」芸術監督。「森は生きている」や、シェークスピアの「十二夜」、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」など多くの作品が高く評価された。

 映画音楽でも「第五福竜丸」以降、新藤兼人監督作品の音楽を担当。せりふのない「裸の島」ではモスクワ国際映画祭の音楽賞を受賞した。

 「国盗り物語」「花神」などNHK大河ドラマの音楽を担当したほか、自由劇場や黒テントなど舞台音楽も手掛けた。96年紫綬褒章。

 昨年9月27日に都内で転倒して頭を打ち、意識不明の重体だった。

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2012年1月7日のニュース