サザン、SMAP 所属「ビクター」売却で移籍も

[ 2009年11月5日 06:00 ]

 サザンオールスターズやSMAPが所属する老舗レコード会社「ビクターエンタテインメント」(東京都港区)の売却が検討されていることが4日、明らかになった。複数の売却先と交渉中で、ゲームソフト大手「コナミ」(同区)が最有力。サザンとSMAPの“2強”は事態を静観しているが、音楽業界再編の動きも活発化しているだけに今後の動向が注目される。

 サザン、SMAPらを抱え、かつては吉永小百合(64)、橋幸夫(66)、森進一(61)、ピンク・レディーらで昭和歌謡界をリードしたビクター。80余年の歴史を誇る“名門”が揺れている。
 親会社である電機メーカーの日本ビクターとケンウッドの持ち株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」は、保有株の過半数を売却する方向で、他のレコード会社など複数の相手に売却を打診中。中でも、コナミが最有力候補という。
 JVC・ケンウッドは昨年秋以降の世界的な景気悪化を受けて業績不振が続いている。売却で事業を絞り込み、経営再建するのが狙いだ。
 一方、コナミは携帯電話向けの配信事業などを展開しており、音楽ソフト事業の買収によりコンテンツの強化を図るのが狙い。ビクターにとっても「連結売上高で3000億円、営業利益で約300億円に達するコナミは親会社として魅力的」というのが音楽業界の一致した見方。隆盛を誇ったビクターも今年上半期の売り上げは、ソニー、エイベックス、ユニバーサルの“3強”から離され6位。業界全体のCD生産金額も過去最高の98年と比べて半分の2913億円にまで落ち込んだ中、「同じソフト事業で成長してきたコナミだけに新たなビジネスモデルが生まれるかも」と期待する声もある。
 ただ、パソコンを使ってプロ並みのレコーディングが簡単にできるようになり、流通も容易になった時代に大手レコード会社の優位性はかつてほどなくなったのも事実。サザン側は以前から独自レーベルを通じてビクターからリリースしており、SMAP側も既にビクターとは1作品ごとのショット契約に移している。いずれも売却後の契約は不透明だ。
 ただ、両者ともビクター一筋の生え抜き。社名や経営陣の一新など大幅な変化がない限り「移籍はなさそう」との見方もある。双方の所属事務所とも「現時点でコメントのしようがない」としている。

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2009年11月5日のニュース