中畑清氏 成功多い捕手出身 「阿部色」遠慮せず出せ!

[ 2023年10月17日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】セ・リーグのCSファーストS。広島が2連勝で勝ち上がった。新井監督の先手先手の采配、見事だったね。甲子園へ乗り込むファイナルS。「高校球児」のような戦いにも期待したいな。

 さて、2年連続でCSを逃した巨人。阿部慎之助新監督の下で秋季練習に入っている。通算17年も指揮を執った原前監督の後継。背番号83を引き継いだのはどうかと思うけど、継承すべきところは継承して、逆に反面教師にする部分があってもいいと思う。

 とにかく色を変えないと。阿部色を出してさ。チームを変えていってほしい。その要素は十分持ってる。巨人で捕手出身の監督は初めて。相手が嫌がる野球、打者が嫌がる配球をいつも考えてきた。野村克也さん、森祇晶さん…。捕手上がりの監督が成功するって、そこなんだよね。

 慎之助は入団1年目から長嶋監督に正捕手として使ってもらってさ。現役生活終盤は一塁に回ることもあったけど、現役の19年間、ほぼ正捕手としてリーグ優勝8回、日本一3回を経験した。常に優勝を争い、それだけ勝ってきたのは大きな財産、強みだ。

 引退後はすぐ2軍監督に就任。早大との練習試合に負けて選手に罰走を命じて批判されたけど、これもありだと思うよ。私の2軍時代、滝安治さんというコーチがいてさ。「さっき雨雲が箱根の山を越えた。もうすぐ降ってくるから今のうちにやっとこう」と言って多摩川でノックの雨を降らせるんだ。空はずっとピーカン。ウソついて練習をやらせたんだ。当時は腹立ったけど、後になって感謝したよ。そこまで情熱を持って指導してくれたんだってね。

 今度は1軍の監督だけど、周りに遠慮することはない。前を向いて、胸を張って、腹をくくってさ。「これが阿部の野球」というものをつくり上げていってほしい。チームの転換期。ベテランと若手をどう融合させるか。投手陣をどう整備するか。今オフの補強も含めて、見えているものがあると思う。

 就任会見で口にした「来年度はアレではなく、アベでいきたいと思います」。一生懸命考えたんだろうね。いまひとつという気がするけど、笑いを取るのも選手との距離感を縮める。これも阿部色。大いに期待している。 (スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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