村上よ“アレ”これ考えんと「楽しんで投げたらええ」阪神・岡田監督が異例のエール その真意は

[ 2023年9月8日 05:15 ]

練習前に明るい表情の阪神・村上(撮影・大森 寛明)
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 阪神は、8日から甲子園で2位・広島との3連戦に臨む。7日、名古屋駅で取材に応じた岡田彰布監督(65)は、初戦に先発する村上頌樹投手(25)に対し、「楽しんで投げたらええ」と助言した。厳しく、かつ冷静に選手を鼓舞してきた指揮官が、05年以来18年ぶりのリーグ優勝に向けた重圧を軽減。この日、広島がDeNAに敗れてマジックは1つ減って12となり直接対決でラストスパートを加速させる。

 ラストスパートを前にしても、岡田監督は驚くほどリラックスムードだった。きょう8日から始まる2位・広島との大事な3連戦。初戦を任せる村上について問われると、笑みを交えながら穏やかに語った。

 「なあ…村上やで。こんな(大事な試合で)初めてやんか、投げんの。そんな初戦やから勝たなあかん、とかじゃなしに、アレやな。楽しんで投げたらええと思うで」

 これも岡田流のチーム操縦術か。前日の勝利後には、11安打を放ちながら1得点しか奪えなかった拙攻に「こんなゲームになるわな」と苦言。かねて、選手には厳しい言葉に加えて「普通にやればええ」と言い続け、引き締めてきた。3年目を迎えた村上は、救援で開幕を迎え、4月22日の中日戦でプロ初勝利を挙げてから9勝。チームの独走を支える立役者の一人だが、実働で言えば1年目に等しい。だから、「普通に」ではなく「楽しめ」という言葉を使って重圧を軽減させた。

 「その楽しいとこにおまえ、10勝がついてきたらな、そらなあ、最高やんか」。一戦ごとに独特の緊張感が漂う9月戦線だが、チームの底上げも担う上で、個人成績のことも気にかけて本来のパフォーマンスが出せるように促した。

 甲子園で行われた投手指名練習で最終調整を終えた村上は、指揮官の言葉を伝え聞くと「気負うことなく、野球を楽しむということをやっていきたい」と呼応した。広島には対戦防御率3・21と、セ5球団で最も苦戦。相手打線に「勢いがある」と警戒を強めつつ、防御率のタイトルを争う床田との投げ合いにも「そういう機会はなかなかないと思う。挑戦者らしく楽しんで挑めたらいい」と誓った。

 ホームの利も生かして2位・広島を叩けば、現在12のマジックを一気に減らせる。「なかなか、こんな(優勝争いの中で)投げられへんで。こういうチーム状況、ましてなあ、いっぱいのお客さんの中で投げられるんやから。ええ経験や、そんなん。ええ経験って、初めてやから、そら」と岡田監督。村上を筆頭に若虎たちが、しびれる戦いを楽しみ抜く。その少し先には、18年ぶりの「アレ」が待っている。 (石崎 祥平)

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